研究課題/領域番号 |
18K09142
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
神沢 英幸 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 研究員 (00551277)
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研究分担者 |
林 祐太郎 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 教授 (40238134)
安井 孝周 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 教授 (40326153)
水野 健太郎 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 准教授 (70448710)
黒川 覚史 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 研究員 (50468253)
守時 良演 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 研究員 (50595395)
西尾 英紀 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 助教 (10621063)
岩月 正一郎 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 助教 (70595397)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 少子化問題 / 精巣形成不全症候群 / 精子幹細胞 / 停留精巣 / 精巣癌 |
研究実績の概要 |
精巣が正常に精子形成を行うには精子幹細胞の正しい分化維持機構が重要である。しかし精巣形成不全症候群(Teticular Dysgenesis Syndrome;TDS)精巣における分化異常についてはほとんど明らかにされていない。本研究ではTDSにおける精子幹細胞機能を評価し、各疾患での種々の因子の相互作用を明らかにすることにより、幹細胞分化異常カスケードの解明を目指している。「研究1:停留精巣・尿道下裂での検討によるTDSの遺伝的要因の解明」では、私たちがこれまでに開発した先天的にTDSを呈するモデル動物を用いて、特異的遺伝子発現変化のスクリーニングおよび精子幹細胞の活性変化を明らかにすることを目的とした。具体的には正常動物精巣とTDSモデル動物精巣からtotal RNAを抽出しmicroarray解析を行うことで、TDSで発現変動する遺伝子群をスクリーニングし、Utf1をはじめとした精子幹細胞マーカーの変動を確認した。またKdm5aの発 現変化がエピゲノム制御異常を惹起していることが明らかにされた。「研究2:精巣温度環境における精子幹細胞の発現変動」では、私たちが研究を進めてきたマーカーについて、精子幹細胞である精原細胞の培養株であるGC-1 spgを異なる温度環境で発育させ、精子幹細胞が温度環境により活性変化を生ずるか検討した。その結果、精子形成に重要な役割を果たすUtf1の発現が陰嚢温で 最も亢進していることが明らかとなった。他の精子幹細胞関連遺伝子についてもOct3/4などに発現変動が見られた。 「研究3:TDSにおける精子幹細胞の動態と支持細胞との相互関係」ではTDSモデル動物で精巣血液関門の形態変化とClaudin-11の発現変化が明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
培養実験での評価方法を一部変更したが概ね順調に結果を出すことができた。
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今後の研究の推進方策 |
幹細胞と精巣血液関門での相互作用異常を停留精巣以外の疾患精巣でも評価を行っていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
精巣形成不全症候群の各疾患における精子幹細胞の網羅的解析を行い、精子幹細胞活性の異常が引き起こされる機序を解明し、エピゲノム制御異常などの関与や分化カスケードに障害をきたすメカニズムをChIP assayや遺伝子導入などの手技で明らかにすることを目的とした研究である。計画自体は順調な滑り出しであったがCOVID-19による通常の医療業務が大幅に変更となり、予定していた研究を進めることができなかった。また国際・国内学会出張も計画していたが、出張することもできなかった。このため次年度使用が生じた。次に最終年度として、精巣形成不全症候群における精子幹細胞の動態と支持細胞の相互関係を明確にしていきたい。
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