研究課題/領域番号 |
18K09143
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
濱本 周造 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 講師 (80551267)
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研究分担者 |
郡 健二郎 名古屋市立大学, その他部局等, 学長 (30122047)
安井 孝周 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 教授 (40326153)
戸澤 啓一 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 教授 (40264733)
岡田 淳志 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 准教授 (70444966)
田口 和己 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 講師 (00595184)
海野 怜 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 研究員 (40755683)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 腎結石 / Randall's plaque / Osteopontin |
研究実績の概要 |
腎結石の発症頻度は急増し、再発予防法の確立は緊急課題である。私たちは、無機物質をターゲットとしたこれまでの治療に限界を感じ、有機物質としてオステオポンチン(OPN)を同定し、その分子機構を世界に先駆けて解明した。その過程で、OPN遺伝子組み換えマウスを作成し、結石形成にかかわるOPNの機能部位を同定した。 今後これらの成果を発展させたヒトへの臨床応用に向けた研究が必須と考えるが、結石の予防治療の効果判定のためのバイオマーカーがない。このことは、慢性疾患の一つと考えられる腎結石に対する創薬開発にむけての大きな課題である。OPNは、酵素による切断や重合による翻訳後修飾を受けて活性を変化させる。そこで本研究では、これら一連の研究成果を踏まえ、トロンビンで切断された後のOPN(切断型OPN)や重合OPNに着目した腎結石診断の新規バイオマーカーの確立を目指す。 まず、医学系倫理審査委員会での承認のもと、尿路結石内視鏡治療時における腎乳頭部石灰化組織(Randall's plaue)の網羅的解析を行った。Randall’s Plaque周囲では炎症/腎障害・免疫細胞・酸化ストレス・血管収縮に関わる遺伝子の発現が増加し、ナトリウム・カリウム・クロールなどの輸送に関わる遺伝子の発現が低下しており、これらのネットワークにおいて炎症促進サイトカインによる細胞障害がRandall’s Plaqueの発生に関わることがわかった。また、結石患者の腎組織内では、結石の自然消失に関わると思われるM2-Mφが健常者に比べ有意に少ないことを証明した。今後、ヒト腎組織における重合OPNや切断型OPNの機能解析を行っていく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
倫理審査を経て、腎組織内の網羅的解析までは行えている。その結果、結石患者では腎組織内のM2-Mφが健常者に比べ有意に少ないことを証明した。このことは、私たちが行ってきた、結石モデルマウスでの解析や、結石患者のマルチプレックス解析の結果と同様のものであった。以上より現在までの研究は概ね順調に進展していると考える。
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今後の研究の推進方策 |
今後、Randall's plaqueや尿中ぬおける切断型OPNや重合OPNの機能解析を行っていく。さらには重合OPNや切断型OPNのELISAキットを作成し、ヒト尿中のOPN測定から、新規診断マーカーになりえるか検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
試薬や動物を無駄なく発注した結果、当初予算より若干節約ができた。次年度(最終年度)使用金額として、よりよい結果を残していきたい。
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