脂質異常症と尿路結石症の関連性についての臨床的検討においては、本学附属病院泌尿器科外来を受診した尿路結石症患者を登録し、脂質プロファイルや尿路結石重症度および24時間尿化学検査などのデータを収集中である。また、結石の診断のために撮影されたCTにおいて肝臓のCT値を測定しており、脂肪肝と尿路結石重症度や24時間尿化学検査との関連性を検討する予定である。また、健常人における脂質異常症と尿路結石症の関連性についての検討については、企業健診受診者を対象とした検討を計画しており、関連部署と計画について交渉中である。なお、2015年尿路結石症全国疫学調査データの解析については、日本尿路結石症学会による公開が遅れており、データが利用できない状況のあり、着手できていない。 腎脂肪毒性による尿細管細胞機能傷害、尿路結石形成過程への影響についての基礎的検討においては、培養尿細管細胞にtriglycerideの沈着を惹起したモデルを作成し、この脂肪沈着モデルを用いてシュウ酸暴露による尿細管細胞傷害、炎症性サイトカインの産生、結石関連高分子物質の産生等について検討中である。また、メタボリックシンドロームモデルラットにおける腎脂肪沈着抑制による結石形成抑制効果の検討については、OLETEFラットにエチレングリコールを投与し、腎結晶沈着を惹起し、チアゾリジン系糖尿病薬による腎脂肪沈着量と結晶沈着抑制効果との関連性を検討中である。
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