研究課題/領域番号 |
18K09154
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研究機関 | 独立行政法人国立病院機構(京都医療センター臨床研究センター) |
研究代表者 |
伊東 晴喜 独立行政法人国立病院機構(京都医療センター臨床研究センター), 臨床研究企画運営部, 研究員 (10817448)
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研究分担者 |
後藤 崇之 京都大学, 医学研究科, 助教 (90806605)
根来 宏光 筑波大学, 附属病院, 病院講師 (80708595)
奥野 博 独立行政法人国立病院機構(京都医療センター臨床研究センター), 内分泌代謝高血圧研究部, 研究室長 (90263079)
坂根 直樹 独立行政法人国立病院機構(京都医療センター臨床研究センター), 臨床研究企画運営部, 研究室長 (40335443)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 夜間頻尿 / 時計遺伝子 / ノビレチン |
研究実績の概要 |
(臨床研究)2018年度中に研究実施施設である京都医療センターでの倫理審査委員会、特定臨床研究にあたるためさらに京都大学での認定倫理審査委員会を経て、jRCTにも登録し、試験を開始した。現在患者登録数は9人(男性5人、女性4人)であり、試験継続中である。 (基礎研究)我々はまず、所有している不死化尿路上皮細胞(TRT-HU1)にBmal1::dLucを遺伝子導入させた。さらに、この細胞にSerum shock法(50%の血清刺激)を加え、培養液中にルシフェリンを混和させた状態で長時間生物発光測定装置(クロノスDio)で計測すると、安定した発光の概日リズムを示すことを確認した。このレポーター細胞を用いた実験系にて、フラボノイド系化合物を加えると、濃度依存的に発光強度は増強し、発光リズムの周期が延長することを確認した。次にTRT-HU1にフラボノイド系化合物が与える影響を、mRNA、蛋白レベルで確認すると、主要時計遺伝子Rev-rebαのmRNAの発現リズムが有意に変化し、蛋白発現も増強することを確認した。また、時計制御遺伝子であるギャップジャンクション構成蛋白コネキシン43(Cx43)の発現もフラボノイド系化合物投与により、タンパク発現が低下することが確認された。以上より、フラボノイド系化合物が尿路上皮細胞においても、時計遺伝子の発現に影響を与え、かつ排尿に影響を与えうるCx43の変化を伴うという結果であった。今後は、フラボノイド系化合物の in vivoでの投与実験を予定している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
臨床試験は当初の予定通り開始し、試験継続中である。invitroの基礎実験においても、当初の仮説に合致して、フラボノイド系化合物の尿路上皮細胞の時計遺伝子発現を大きく変化させるという結果であった。vivoでの投与実験を予定している。
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今後の研究の推進方策 |
臨床試験は引き続き患者リクルートを行い、目標登録数を目指す。基礎実験はさらにノビレチンのvivoでの投与を行い、ノビレチンの時計遺伝子と膀胱排尿機能に与える影響に関して、分子細胞学的に解明する。また、ノビレチン以外の薬剤に関しても、臨床的に候補となる物質を中心に、時計遺伝子発現に影響があるかどうかを確認する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初遺伝子検査費用として使用する事を想定していたが、一定数症例が蓄積した状態で検査することしたため。患者リクルートを引き続き行い一定の症例数となれば解析する方針である。
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