| 研究課題/領域番号 |
18K09161
|
|---|
| 研究機関 | 国立研究開発法人国立国際医療研究センター |
|---|
研究代表者 |
新美 文彩 国立研究開発法人国立国際医療研究センター, その他部局等, 医師 (00376451)
|
|---|
| 研究分担者 |
秋山 佳之 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (20529135)
野宮 明 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (30372379)
井川 靖彦 東京大学, 医学部附属病院, 特任教授 (40159588)
本間 之夫 東京大学, 医学部附属病院, 登録診療員 (40165626)
住谷 昌彦 東京大学, 医学部附属病院, 准教授 (80420420)
相澤 直樹 東京大学, 医学部附属病院, 特任講師 (80595257)
亀井 潤 自治医科大学, 医学部, 講師 (80805622)
|
|---|
| 研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
| キーワード | 間質性膀胱炎 |
|---|
| 研究実績の概要 |
ハンナ型間質性膀胱炎（HIC）の疼痛は膀胱壁への炎症細胞浸潤による侵害受容体刺激が主な原因と考えられてきたが、疼痛が慢性化することが多く、その機序として神経可塑性が考えられてきたが、それを立証する研究はこれまでになかった。本研究で我々は間質性膀胱炎における神経障害性疼痛関連物質である髄液中のリゾフォスファチジルコリン（LPC）の上昇の有無について検討を行っている。昨年度はHIC、および自発痛ないコントロールに対して髄液の採取を行い、髄液中のリゾフォスファチジルコリンおよびその種について質量分析法にて評価を行った。自覚症状の評価には初診時のOSSI、OSPI、OABSS、VASスコア、排尿日誌を用いた。結果として、HIC症例13例（膀胱水圧拡張術13例）、コントロール22例を対象とした。HIC群とコントロール群ではOSSI、OSPI、OABSS、VASスコア、排尿回数のいずれにおいても有意にHIC群で高値であった。総LPC量はHIC群で正常群の2倍であり、更にLPCの種についても14：0LPC以外でHIC群はコントロール群と比較して有意に高値を示した。LPCは脱髄を惹起させ、痛覚過敏や神経障害性疼痛を起こすことが知られている。モデルラットにおいてはLPCの座骨神経への投与により頻尿が起きることが報告されているが、これまでにヒトにおける報告はなかった。同様の機序が疼痛や頻尿に寄与すると考えられており、ハンナ病変を伴わない疼痛のみを主体としたNHICにおいて同様の現象が起きていると想定した。前年度の研究成果であるHICの髄液中においてもLPCが上昇しているという所見を踏まえ、現在非ハンナ型について症例・検体およびデータ収集中である。
|
| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
前年度では予定していた計画どおり、間質性膀胱炎およびコントロール症例の髄液中のリゾリン脂質を質量分析計による測定を行った。その結果、LPCがハンナ型で著明に上昇していることが判明した。これを受けて、本年度は非ハンナ型において同様にリゾリン脂質が変動しているか、各種ごとに測定を行う予定であったが、非ハンナ型症例はハンナ型以上に症例数が少ないため患者リクルートに難渋しており、検体数が伸び悩んでいる。
引き続き症例リクルートおよび検体採取数増加を目指し働きかけを行う。
|
| 今後の研究の推進方策 |
現在は非ハンナ型においても研究を継続しているが、患者数が少ないため想定していたペースでの症例数の蓄積が得られていない。解析に耐えうる症例数が得られた時点でハンナ型との比較を行いたい。髄液採取は侵襲的な手技であり、非侵襲的な尿中のリゾリン脂質についても解析も追加すべく調整中である。
万が一非ハンナ型での症例数が十分に得られなかった場合は、代わりにリゾリン脂質と既存のマーカー（CXCL10、NGF）の比較を行いその意義などについて検証を行う予定である。
|
| 次年度使用額が生じた理由 |
当初2020年3月に参加予定であった欧州泌尿器科学会が、COVID-19のパンデミックの影響で直前に延期となったため、渡航に関わる費用の一部に残金が生じた。
学会は来年度に延期となっているため、令和2年度の学会の渡航費として使用する予定である。
|
