研究課題/領域番号 |
18K09167
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
高本 篤 岡山大学, 大学病院, 助教 (30716816)
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研究分担者 |
定平 卓也 岡山大学, 大学病院, 助教 (20733322)
渡邉 豊彦 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 准教授 (30432644)
植木 英雄 岡山大学, 医学部, 技術専門職員 (90537218)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 前立腺肥大症 / ステロイドホルモン / SGTA / REIC/Dkk-3 |
研究実績の概要 |
平均寿命の延長に伴い、生活の質(QOL)を低下させる加齢現象への対応が緊急の課題となっている。このうち、高齢男性に加齢現象として一般的に見られる前立腺肥大症(BPH)は排尿障害を高頻度で引き起こし、さらに、残尿の増加にともなう尿路感染症や、夜間頻尿にともなう不眠症など2次的な疾患も誘発することが知られている。 前立腺肥大症の発生・進展に関する研究として、我々は先行研究により既に、アンドロゲン感受性を有するヒト正常前立腺上皮細胞(PrEC)においてREIC/Dkk-3発現を特異的siRNAで抑制すると、活性化RasであるRas-GTPのレベルが上昇することを確認している。 そこで本研究では、正常細胞や前立腺癌細胞を含む各種ヒト細胞について、男性ホルモン(アンドロゲン)やステロイドホルモンのレセプターを介したシグナルの核内移行についての研究を実施している。また、これまでの研究により新たに、REIC/Dkk-3タンパク質がActin線維-微小管細胞骨格制御に必須のKeyタンパク質の一つを制御することが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、293細胞を用いてSGTAタンパク質の発現レベルに基づく男性ホルモンレセプターの核内移行に関する研究を実施した。また、REIC/Dkk-3タンパク質がActin線維-微小管細胞骨格制御に必須のタンパク質の一つを制御することが明らかとなった。我々は、REIC/Dkk-3タンパク質が微小管と密接な関係を持つDyneinモーターの一部を成すTctex-1と結合することを明らかにしており、REIC/Dkk-3はこれらタンパク質群の機能を通してActin線維-微小管細胞骨格制御に関与していると考えられる。本研究申請時の仮説に基づき、分子細胞生物学的な解析を加えながら本研究を推進している。研究はおおむね順調に進展していると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
ヒト正常細胞株を用いたin vitro実験系で、REIC/Dkk-3およびSGTAタンパク質が、ステロイドシグナルおよびActin線維-微小管細胞骨格制御にどのように関わるかを解析する。一方で、これまでの成果と文献的考察に基づき、前立腺由来の各種細胞株における細胞増殖シグナルについて、Actin線維-微小管細胞骨格制御の観点からの研究実施が可能となった。 そこで、今回明らかにしたActin線維-微小管細胞骨格制御に必須のタンパク質の一つについても、前述のステロイドシグナルおよびActin線維-微小管細胞骨格制御の観点から解析を加える。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度は、293細胞を用いてSGTAタンパク質の発現レベルに基づく男性ホルモンレセプターの核内移行に関する研究を実施した。今回、前立腺由来正常細胞を用いたin vitro実験系で、REIC/Dkk-3タンパク質がステロイドレセプターシグナルの核内移行にどのように関わるかの解析について、予定と比べて未使用額が生じたものである。今年度未使用額を次年度にあてがい、各種正常細胞株におけるREIC/Dkk-3タンパク質およびSGTAタンパク質の各種ステロイドシグナルへの関与について解析を行い、研究目的の達成に向け実験を推進する計画である。
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