研究課題
前立腺癌特異的な骨転移の成立機構を解明し、前立腺癌独自の骨転移の予防及び治療の基盤の構築を目的として、前立腺癌骨転移制御に関わる候補遺伝子PCBM1の機能解析として増殖能、浸潤能、遊走能、細胞接着能について、前年度で構築した系を用いてin vitroにおける評価を行っている。in vivoにおいては、同細胞を、ヌードマウスの皮下モデルで、細胞増殖能を評価したするとともに、ヌードマウスの脛骨骨髄内に播種した骨転移モデルにて骨転移の成立に及ぼす影響を評価した。さらに、同細胞をヌードマウスの左室心腔内注射による血行性骨転移モデルを作出し、軟X線撮影、マイクロCTによるX線学的定量評価、骨形態計測法による組織学的定量解析およびRNAseqによるトランスクリプトーム解析を行うことで、経時的な骨転移成立の定量的解析を継続的に行っている。さらに新学術領域研究「学術研究支援基盤形成」コホート・生体試料支援プラットフォームに支援を頂き、前年度より引き続いて多数例のヒト臨床組織検体における組織免疫染色により、原発巣におけるPCBM1発現強度と骨転移の有無や前立腺癌の悪性度との相関を解析した。今後、臨床経過における骨転移の発生・生存期間等との相関を解析するために、さらに症例集積と臨床的背景因子のデータベース作成を行っている。タンパク質の相互作用・生化学的解析のための基盤技術の1つであるアルファスクリーンと、愛媛大学プロテオサイエンスセンターが独自に開発したコムギ無細胞タンパク質合成技術を応用した、三量体形成または膜受容体結合を阻害する化合物探索法を用いたスクリーニングを展開中である。また、愛媛大学プロテオサイエンスセンターが独自に開発した抗体作成技術を応用した、抗PCBM1抗体の開発として前述の評価系を用いた探索を同時に展開中である。
2: おおむね順調に進展している
現時点まで当初の研究計画に沿った評価系の構築やデータベース作成がスムースに展開が出来ており、これに基づいた研究の遂行が出来ている。
評価系の構築に沿って引き続いてin vitro/vivoのPCBM1の機能解析をおこないつつ、臨床サンプルと候補遺伝子との相関の解析を行っていく。さらに当初の予定通りコムギ無細胞タンパク質合成技術を用いた骨転移予防/治療低分子化合物の探索を進める。PCBMに対する中和抗体については現在作成を進めていることろであり、抗腫瘍効果を得ることのできる有効な中和抗体を探索するために、腫瘍発育抑制効果や骨転移予防効果を検証していく。
当該年度に予定していた謝金の支払いが次年度へ持ち越しとなったため
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件) 学会発表 (2件)
International Journal of Cancer
巻: 146 ページ: 1369-1382
10.1002/ijc.32554