研究課題
薬物治療が腎癌に与える影響を治療前後の血清を用いて検討したところ、治療奏効とTNF-αの発現は逆相関していた。現在、免疫関連のマーカーについても検討中である。また、腎癌薬物治療の際、様々なケモカインの発現を確認しており、これらに関与するものとして、以前よりローヤルゼリーに着目していた。ローヤルゼリーは抗炎症作用や抗酸化作用を有し、がん免疫と関連する可能性があると考え、ローヤルゼリーによる腎癌治療へ与える影響を検討した。治療前後の各因子の濃度比を解析すると、ローヤルゼリーの内服によりTNF-α、TGF-βの前後比はそれぞれ有意に低下していた。さらに、治療奏効別にこれらの変化を解析したところ、治療奏効が見られた患者においては治療前後のTNF-αが有意に低下していた。一方で、治療に伴う食思不振、倦怠感が出現した患者においてはTGF-βの前後比が有意に上昇していた。このことから、ローヤルゼリーによる効果として、TNF-αの抑制による抗腫瘍効果、およびTGF-βの抑制による食思不振、倦怠感の軽減が示唆された。また、同様にマクロファージコロニー刺激因子(MSCF)についても解析したところ、ローヤルゼリー投与早期(4週間以内)と12週後で上昇していた。さらに、投与早期には食思不振や倦怠感の抑制と相関しており、12週後にはIL-6の発現を介して倦怠感の抑制に関連することが示された。臨床研究においては、腎癌データベースを作成し、腎癌に対する薬物治療による効果予測モデルの作成を試みたところ、血清アルブミンおよび好中球/リンパ球比がバイオマーカーとなる可能性が示唆された。今後は、組織検体を用いて、治療効果予測因子の抽出を行い、それらの因子の発現を腎癌動物モデルを用いて確認し、包括的な予後予測モデルを作成する予定である。
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Urologia Internationalis
巻: 19 ページ: 1,7
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泌尿器科
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