研究課題
(方法)同意を得た膀胱全摘患者の外尿道括約筋を少量採取し、コラゲナーゼ処理して得た初代培養細胞をヒト筋細胞不死化法による遺伝子導入にて不死化する。不死化ヒト外尿道括約筋細胞を10cmdishに10^6個まき、IGF-1添加した増殖用培地にて2日間培養後、cell countを行い、また一部の細胞から蛋白・RNA抽出を行う。残りの細胞は分化誘導培地にて5日間培養し、1、2、3、5日後の細胞から、同様に蛋白・RNA抽出を行う。抽出した蛋白・RNAを用い、Western blotting、RT-qPCRにて定量分析を行う。また各段階において、免疫染色を行い、形態変化等を観察する。IGF-1は増殖・分化誘導培地に2日おきに添加する。(結果)IGF-1添加した増殖培地で2日間培養した細胞は、IGF-1の濃度依存的に増加した。分化誘導培地に変更後、2日目からMyogenin、3日目からMHCは遺伝子レベルで有意に発現するが、IGF-1を添加することで、筋分化マーカーの発現もIGF-1の濃度依存的に増加した。免疫染色ではMHCは軽度増加しているようであったが、Western blottingでは有意な差は認められなかった。また、グルコーストランスポーターであるGLUT4はIGF-1添加することで、IGF-1の濃度依存的に発現が増加した。IGF-1はヒト外尿道括約筋細胞の増殖・分化を促進させることが示唆される。現在、Glucose Uptake Assay Kitを用い、糖の取り込みの変化を測定中である。