研究課題/領域番号 |
18K09179
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
松本 一宏 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 助教 (80366153)
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研究分担者 |
菊地 栄次 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 准教授 (10286552)
小坂 威雄 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 講師 (30445407)
武田 利和 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 助教 (10383829)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 筋層非浸潤性性膀胱癌 |
研究実績の概要 |
PED5阻害薬であるTadalafilは、実臨床にて前立腺肥大症による排尿障害改善薬、勃起不全改善薬、肺高血圧治療薬として使用されている。最近、前立腺肥大症を合併した再発を繰り返す筋層非浸潤性膀胱癌患者において、Tadalafil内服開始後に抗癌剤(Mitomycin C)膀胱内注入療法を行ったところ著効した症例を偶然立て続けに実臨床にて経験した。文献検索上もTadalafilの抗腫瘍効果が、実験レベルで散見されるようになってきており、Tadalafilをドラッグ・リポジショニングの候補として本研究を着想した。筋層非浸潤性膀胱癌においてスタンダードな抗癌剤膀胱内注入療法とTadalafilを組み合わせることにより、より強力な抗腫瘍効果を発揮し実臨床への橋渡しとすることを本研究の目的としている。 研究経過 1)ヒト膀胱癌細胞株3種とマウス膀胱癌細胞株1種すべてにおいて、Mitomycin CとTadalafilとの相乗効果を確認した。特に相乗効果の強かったT24細胞株を用い以下機能解析を行った。2) Mitomycin CとTadalafil 併用群において特にPDE5活性の低下を認め、それに伴いcGMP濃度の上昇を確認した。またMitomycin CおよびTadalafil投与それぞれにより、SOD活性および酸化型/還元型グルタチオン比が大きく変動しており、酸化ストレスが抗腫瘍効果に関与している可能性が示唆された。3) マウス膀胱癌同所性モデルにて、Day30に膀胱を摘出し腫瘍サイズを確認した。Mitomycin CとTadalafilとを併用することにより、膀胱腫瘍サイズの低下を認めた。また併用群ではMitomycin C投与単独群に比べ、膀胱容量が維持されている傾向を認めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定通りに研究を遂行できている。
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今後の研究の推進方策 |
1) マウス膀胱癌同所性モデルを用いた、抗癌剤膀胱内注入とTadalafilとの併用療法の抗腫瘍効果は既に確認できたが、あらたに抗癌剤膀胱内注入によって生じる膀胱萎縮の予防効果もTadalafilが有している可能性がこれまでの結果より示唆されている。マウス摘出検体を用い、浸潤している炎症性細胞の種類、線維化の程度を免疫組織染色にて行い、膀胱萎縮予防効果のメカニズムを解明する。 2) ヒト膀胱がんに対するTadalafilの効果をレトロスペクティブに解明する。当教室は膀胱癌において多数の臨床データおよび未染の病理プレパラートを既に所有している(N=200)。その中には数名のTadalafil内服下の症例も含まれる。PDE5および一酸化窒素合成酵素eNOSの免疫組織染色を行い、抗癌剤治療前後での発現の変化、予後との相関につき解析する。 3) Tadalafilの抗腫瘍効果に関与する、酸化ストレス制御以外のメカニズムの有無につき検討を行う。すでにマイクロアレイ解析にて①抗癌剤に伴い誘導されたオートファジーの抑制、②Wnt/β-カテニンシグナル伝達経路と薬剤耐性遺伝子(MDR1)活性化の抑制、③RB経路によるE2Fの不活化のPathwayが候補として挙がっているため、それぞれの経路の関与を検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
使用したアッセイキットがキャンペーンにより想定より安価に購入できたことにより差額が生じた。当該助成金は、結果の確認など追実験のアッセイキット購入に使用させていただく。
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