研究実績の概要 |
我々は交付申請書における研究計画に記したとおり、現在までにロボット支援下腎部分切除術(RAPN)症例におけるMRI/4D PC-VIPR(Four Dimensional Phase Contrast Vastly Undersampled Isotropic Projection Reconstruction)撮像を用いた固有腎動脈の客観的流速(OFV)測定の解析を施行し、以下の知見 を得た。 (1)MRI/4D PC-VIPRのDICOMデータを基にしたFROVAⅡソフトウェアを用いた血管形態の3D画像構築および流速測定について、固有腎動脈の描出は一定の質および精度を保ったまま行え、また、これまで行われることのなかった同動脈の複数任意箇所におけるOFV測定も研究計画どおりに可能であることが今回示された。(2)一定の割合で解析不能データが存在することが確認された。収集されたDICOMデータをFLOVAⅡで解析不可能なケースが約2割程度存在し、未承認ソフト特有の不安定性によるものと考えられた。(3)患側固有腎動脈OFVと、術後eGFRの回復速度をはじめとした各種eGFR関連変数との間に相関関係および一定の傾向を認めなかった。すなわち、RAPNにおける術前固有腎動脈OFV測定に臨床的意義を見出すのは困難である可能性がある。 一方で、我々は本研究に関連するRAPN画像解析の一環として、腎周囲脂肪の3D-volumetry値が周術期変数に対する臨床的影響を解析し、その成果を2019年度内に論文として報告した ( Motoyama D, et al. Significant impact of three-dimensional volumetry of perinephric fat on the console time during robot-assisted partial nephrectomy. BMC Urol. 2019 Dec 12;19(1):132. )。
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