研究課題/領域番号 |
18K09194
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
小林 泰之 岡山大学, 大学病院, 講師 (50366027)
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研究分担者 |
黄 鵬 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 助教 (00610841)
那須 保友 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 教授 (20237572)
定平 卓也 岡山大学, 大学病院, 助教 (20733322)
植木 英雄 岡山大学, 医学部, 技術専門職員 (90537218)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 腫瘍 / REIC / 遺伝子治療 |
研究実績の概要 |
癌に対するウイルスベクター投与治療の研究開発では、新たな薬剤創製、そして臨床効果の検証と効果増強法への展開が中心的課題となっている。 これまでの我々の研究により、各種癌細胞に対する癌治療遺伝子REICの強制発現に基づく癌細胞選択的アポトーシスの誘導と当該作用に基づく抗腫瘍効果を確認した。 本研究ではこれらの検証に加え、従来の臨床研究で用いたREIC遺伝子搭載の非増殖型アデノウイルスベクター(Ad-REIC剤)に比べてより強力な抗腫瘍効果が期待されるREIC搭載制限増殖型アデノウイルスベクター(Oncolytic Ad-REIC剤)を臨床応用する為の基盤研究を実施してきた。特に、当該Oncolytic Ad-REIC剤を実臨床で各種癌種の癌病巣に直接投与する状況を想定して、当該治療剤を用いる癌局所療法の治療効果の最大化および最適化を目指す研究を実施している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度・本年度と併せて現在までに、我々の実施した「癌治療遺伝子REIC/Dkk-3 を用いた前立腺癌に対する in-situ 遺伝子治療」の臨床研究で認められた『自己癌ワクチン化作用』の更なるメカニズム解明に関する研究に取り組んでいる。特に本研究は、癌治療遺伝子REICを制限増殖型アデノウイルスベクターで超高発現させることにより、抗腫瘍効果と抗癌免疫活性を著明に高める治療法に関する研究であり、一定の成果が得られた。また本年度も、生体組織内に試験薬等を浸透・拡散させる為の投与システムに関する基盤研究を実施した。すなわち、腫瘍局所での治療的癌細胞死により免疫担当細胞への大量の癌抗原提示を可能とするベクター投与システムについて、応用研究を遂行した。現状、研究はおおむね順調に進捗していると考える。
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今後の研究の推進方策 |
本年度の研究に継続して、アデノウイルスベクターの腫瘍内局所投与方法に関して基盤的知見を得る為の研究を推進する。 これまでに得られた各種固形癌に対する薬剤の局所注入療法の知見・経験を踏まえ、膀胱癌やその他癌種に対する次世代遺伝子治療の治療技術の確立を目指した研究を実施する。制限増殖型アデノウイルスベクターであるOncolytic Ad-REIC剤に最適化された、より安全にかつ最大限に治療効果を引き出す為の薬剤投与方法・システムに関する条件検討等を更に推進する。
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次年度使用額が生じた理由 |
昨年度に引き続き、アデノウイルスの腫瘍内局所投与に基づく遺伝子治療の効果の最大化を念頭に、薬剤局所投与方法に係る研究を重要視して研究を推進している。結果、分子生物学的な解析用試薬の購入分について、予定と比べて未使用額が生じたものである。今年度の未使用額は令和2年度分にあてがい、引き続き、癌組織内に治療試験薬を効果的に浸透・拡散させる為の投与システムの確立およびOncolytic Ad-REIC剤による殺癌細胞効果の分子メカニズム解析に利用することにより、臨床応用の可能性に沿った形で研究目的の達成を目指す計画である。
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