研究課題/領域番号 |
18K09196
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研究機関 | 高知大学 |
研究代表者 |
齊藤 源顕 高知大学, 教育研究部医療学系基礎医学部門, 教授 (60273893)
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研究分担者 |
清水 孝洋 高知大学, 教育研究部医療学系基礎医学部門, 准教授 (00363276)
東 洋一郎 高知大学, 教育研究部医療学系基礎医学部門, 助教 (80380062)
清水 翔吾 高知大学, 教育研究部医療学系基礎医学部門, 助教 (90721853)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 排尿障害 / グリア細胞 / 脳卒中 |
研究実績の概要 |
[具体的な内容] 本年度の研究により、1.グリア細胞の活性化が惹起される一過性管腔内中大脳動脈閉塞処置による脳卒中モデルラットの再灌流7日後の排尿障害を検討したところ、60分間の閉塞処置では排尿間隔の短縮が観察され、90分間の閉塞処置では排尿間隔の短縮に加えて無排尿性収縮が観察された。2.管腔内中大脳動脈を60分間閉塞処置したラットに対して、ミクログリアの活性化阻害薬であるミノサイクリンを腹腔内に再灌流1日後から6日間連日投与(1日1回投与)したところ、再灌流7日後に観察された排尿間隔の短縮が抑制されていた。 [意義、重要性] 脳卒中は治療後も後遺症が長期にわたって持続することが少なくない。このような脳卒中後遺症のなかでも排尿障害はそれ自身の医学的問題に加えてリハビリテーションの遅延や在宅生活への阻害因子となることから社会的にも重大な問題である。今年度得られた研究成果は世界で初めての知見であり、これらは未だ確立されていない脳内グリア細胞が関与する脳卒中後の排尿障害に対する治療法の開発につながる意義深い知見である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、脳卒中モデルを用いてグリア細胞の活性化と排尿障害の関連性に関して検討を行った。その結果、虚血時間による排尿障害の変化とミクログリアの活性化阻害薬であるミノサイクリンの有効性を示す研究結果が得られているため、おおむね順調に進展しているとした。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は、一過性管腔内中大脳動脈閉塞処置による脳卒中モデルラットを用いて検討を行った。このモデルは処置方法の特徴から個体差が大きくなることが知られている。そのため、本年度の研究結果の再現性を繰り返し確認する必要がある。また、ミノサイクリンの有効な投与量ならびに投与時間の検討と、ミクログリアの活性化と排尿障害の関連性を詳細に検討することを計画している。更に、アストロサイトに関しても排尿障害との関連性を検討し、その他の疾患モデルに関しても同様に検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
[理由] 本年度は、一過性管腔内中大脳動脈閉塞処置による脳虚血モデルはグリア細胞のうち特にミクログリアの活性化が病態の重篤化に関与することが知られている。そのため、グリア細胞のうちミクログリアに焦点を絞って検討したことで、アストロサイトに対する抗体やその他多くの試薬を購入する必要がなくなり当該助成金が生じた。 [使用計画] 次年度は、アストロサイトにも着目し排尿障害との関連性を検討する。具体的にはアストロサイトの活性化阻害薬の投与によって脳虚血モデルラットの排尿障害が抑制または改善するか否かを検討し、更にその分子機序を解明するため免疫組織化学染色法ならびにリアルタイムPCR法を用いて検討する予定である。本年度生じた当該助成金はこれらの検討に使用する計画である。
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