研究課題
[具体的な内容]昨年度までは60分間の一過性管腔内中大脳動脈(MCAO)処置により再灌流7日後の排尿障害を検討していたが、致死率が高く十分な検討が見込めなかったことから、40分間のMCOA処置へと変更し、再灌流7日後の排尿障害に対するミノサイクリン前投与の効果を検討した。その結果、以下の3つの知見を得ることが出来た。1. MCAO処置またはミノサイクリン(45mg/kg, iv)前投与によるラットの体重、膀胱重量及び膀胱重量/体重への統計学的有意な差異は認められなかった。2. MCAO+vehicle群はSham+vehicle群に比して、一回排尿量と膀胱容量が低値を示した一方で、残尿や排尿効率には有意差はみられなかった。これに対して、MCAO+ミノサイクリン群はMCAO+vehicle群に比して、一回排尿量と膀胱容量は高値を示した。3. MCAO+vehicle群はSham+vehicle群に比して、排尿間隔が低値を示した一方で、最大排尿筋圧や無抑制収縮には影響はみられなかった。MCAO+ミノサイクリン (45) 群はMCAO+vehicle群に比して、排尿間隔は高値を示した。[意義・重要性]脳卒中は治療後も後遺症が長期にわたって持続することが少なくない。このような脳卒中後遺症のなかでも排尿障害はそれ自身の医学的問題に加えてリハビリテーションの遅延や在宅生活への阻害因子となることから社会的にも重大な問題である。本年度の検討では一過性MCAOによる排尿障害に対するミノサイクリンの効果について排尿間隔のみならず一回排尿量、膀胱容量、膀胱重量、残尿、排尿効率など詳細に解析することが出来た。これらの研究成果は世界で初めての知見であり、未だ確立されていない脳内グリア細胞が関与する脳卒中後の排尿障害に対する治療法の開発につながる意義深い知見である。
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