研究課題/領域番号 |
18K09199
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研究機関 | 札幌医科大学 |
研究代表者 |
田端 秀敏 札幌医科大学, 医学部, 研究員 (40810586)
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研究分担者 |
舛森 直哉 札幌医科大学, 医学部, 教授 (20295356)
佐々木 祐典 札幌医科大学, 医学部, 講師 (20538136)
本望 修 札幌医科大学, 医学部, 教授 (90285007)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 間質性膀胱炎 / 骨髄幹細胞移植 / Toll like receptor 7 / Loxoribine |
研究実績の概要 |
間質性膀胱炎 (interstitial cystitis: IC) のサブタイプであるハンナ型IC (Hunner type IC: HIC) は泌尿器科領域で唯一の難病指定疾患であり、治療法の開発が望まれている。これまでに我々は自然免疫機構の1つであるToll like receptor (TLR) に注目し、HIC患者の膀胱粘膜組織においてTLR7の発現が亢進していることを確認した。また、マウスの膀胱内でTLR7を活性化させるとIC様症状が出現することを示し、独自にTLR7刺激膀胱炎誘発動物モデルを開発した。本研究の目的は、有効な治療法のないHICに対して、骨髄幹細胞 (mesenchymal stem cell: MSC) 移植という新しい治療法を開発することである。 我々はこれまでに種々の疾患動物モデルに対してMSC移植の治療効果を報告してきた。MSC移植の治療効果はラットを使用した動物モデルで行っているため、まずはマウスで示したTLR7刺激膀胱炎誘発動物モデルが、ラットでも同様の症状を呈することを示すことから始めた。 ラット尿道口から膀胱内へカテーテルを挿入し、TLR7選択的刺激薬 (Loxoribine; LX) を60分間注入してHICモデルを作成する。このモデルの生理行動学的検査として、24時間排尿行動記録法により排尿回数が増加すること、1回排尿量が減少することを確認した。また、ラット膀胱痛様行動の指標であるFreezing行動回数が増加することを確認した。また、病理組織学的検査として、HE染色で、HICモデルでは炎症細胞浸潤、浮腫、うっ血の変化が生じることを確認した。以上より、ラットでもTLR7の活性化によりIC様症状が出現することを示した。 現在、ラットによるTLR7刺激膀胱炎誘発モデルを使用し、MSCを経静脈的に移植し、治療効果を解析している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
MSC移植に必要なラットでも膀胱内でTLR7を活性化させるとIC様症状が出現することを確認した。つまり、ラットを用いてHICモデルを作成し、24時間排尿行動記録法により排尿回数が増加すること、および1回排尿量が減少すること、また、膀胱痛様行動の指標であるFreezing行動回数が増加することを示した。 また、MSC移植の治療効果確認のために適切なLXの投与濃度、投与量を確認し、決定した。 現在、このラットTLR7刺激膀胱炎誘発モデルを使用し、MSC移植による治療効果確認を進めている。内容は、生理行動学的検査(24時間排尿行動記録法、ラット膀胱痛様行動測定)、動物用MRI検査、病理組織学的検査である。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画書の通り、ラットTLR7刺激膀胱炎誘発モデルを使用し、MSCの経静脈的移植を行い、治療効果を確認することを第一の目標とする。 現在、ラットTLR7刺激膀胱炎誘発モデルに対してMSC移植を行っており、生理行動学的検査(24時間排尿行動記録法、ラット膀胱痛様行動測定)、動物用MRI検査、病理組織学的検査を行い、データ蓄積中である。 MSC移植の治療効果が確認できたら、治療メカニズムを確認するために、網羅的トランスクリプトーム解析を行い、MSC移植によって変化する遺伝子の同定を行う。 それによって同定された遺伝子を強制発現させたMSCを作成し、同HICモデルに対する治療効果を再度検討する、予定である。
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