研究課題
ヒト停留精巣における遺伝子発現と造精機能障害との関連については明らかではない。さらに精細胞分化には多数の遺伝子発現が関与することが分かってきた。そこでヒト停留精巣において発現変化を認める遺伝子群を、パスウェイ解析で検討した。精巣固定術時に精巣生検を行って得たヒト精巣組織を対象とし、移動性精巣(n=3)をコントロールとして、停留精巣(n=6)で発現亢進する遺伝子をマイクロアレイ解析にて探索した。解析チップはSurePrint G3 Human Gene Expression 8x60K v2 Microarray Kit、解析ソフトはGeneSpring GX<version 13.0.0>を使用した。マイクロアレイ解析で得たデータを用いて、解析ソフト(Ingenuity Pathway Analysis;IPA)を用いてパスウェイ解析を行った。Canonical Pathway解析で、停留精巣で炎症に関与する“Acute Phase Response Signaling”や“Chemokine Signaling”のパスウェイが亢進していた。また精母細胞の合胞体形成に関与する“SNARE Singnaling Pathway”や細胞分化・増殖に関与する“3-phosphoinositide Biosynthesis”などのパスウェイが抑制されていた。さらに、停留精巣における遺伝子発現変化に影響を与える上流因子を解析するUpstream Regulators Analysisでは、“β-estradiaol”や“ESR1”などが同定された。停留精巣では、炎症に関与するパスウェイの亢進や、細胞分化・増殖に関与するパスウェイの抑制を認めた。さらに上流因子解析でエストロゲンに関連する因子が同定されたことより、エストロゲンを介した精細胞分化障害の可能性も示唆された。
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