研究課題/領域番号 |
18K09204
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研究機関 | 獨協医科大学 |
研究代表者 |
藤ノ木 政勝 獨協医科大学, 医学部, 准教授 (30316583)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 受精能獲得 / 精子 / 超活性化運動 / 体外受精 |
研究実績の概要 |
シリアンハムスターを用いた検討で、セロトニンによる超活性化の惹起に5HT2受容体が関与する事は既に論文として報告をしてある通りであるが、さらに5HT2受容体は3種類のサブタイプ(5HT2A受容体、5HT2B受容体、5HT2C受容体)が存在するので、どのサブタイプが超活性化の惹起に関与するのか調べた。3種類のサブタイプのアゴニストを用いて検討したところ、5HT2A受容体の関与を示唆する結果を得た。現在、3種類のサブタイプのアンタゴニストを用いてアゴニストを用いて得た結果の対となる結果を得られないか検討を行っている。 マウスを用いた検討で、昨年度の成果として報告したセロトニンにより体外受精の成績が向上する事について更なる検討を進めた。5HT2受容体、5HT3受容体、5HT4受容体、5HT7受容体の各アゴニストとアンタゴニストを用いて体外受精を行ったところ、5HT2受容体、5HT4受容体、5HT7受容体の各アゴニストにより体外受精の成績の向上が認められたが、5HT3受容体のアゴニストは効果が認められなかった。5HT2受容体、5HT4受容体、5HT7受容体の各アゴニストによる体外受精の成績の向上は対応する各受容体アンタゴニストによって阻害された。またGABAの影響を調べたところ、マウス精子超活性化運動の惹起・促進作用を確認することができた。しかしながら、体外受精の成績の向上をさせるほどの効果は認められなかった。 ラットを用いた検討で、5HT1受容体、5HT2受容体、5HT3受容体、5HT4受容体、5HT6受容体、5HT7受容体の各アゴニストにより超活性化運動の惹起・促進が起こるか検討したところ、5HT4受容体アゴニストのみで確認された。またGABAの影響を調べたところ、ラット精子超活性化運動への影響を認める事は出来なかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
所属講座の閉鎖および実験動物センターのトラブルにより、のべ3カ月ほど実験を行う事ができない期間が予定外に生じたため、その期間に当初実施を予定していた実験を行う事ができなかった。しかしながら、令和2年度は実験動物センターへ異動となり教育のエフォートが大幅に減ったため、昨年度の遅れは本年度に取り戻す事は可能と考えている。また、昨年度得られた成果を基にした論文が雑誌に掲載されたので、その成果を飛躍的に発展させていく事が可能となったため、全体としては当初の研究計画よりは遅れ気味ではあるものの、深刻な遅れではないと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
ハムスターを用いた検討では、5HT2受容体の3種類のサブタイプ(5HT2A受容体、5HT2B受容体、5HT2C受容体)のアゴニストによる成果の対になるアンタゴニストを用いた実験結果を揃え、論文化を図っていきたい。 マウスを用いた検討では、5HT2受容体の3種類のサブタイプの内のどのタイプが超活性化運動の惹起・促進と体外受精の成績の向上に関与するのか明らかにしていきたい。 ラットを用いた検討では、超活性化の惹起・促進に関与するセロトニン受容体は明らかになったので、その下流のシグナルについて調べると共に、体外受精への影響を検討していきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
所属講座の閉鎖と実験動物センターのトラブルにより、延べ3カ月ほど実験を行う事ができなかった期間が生じたため、試薬や動物の購入を控えていた事と、新型コロナ感染症の影響で学会の開催方式が集合しない形式になったため、予定していた旅費の支出が少なくなったため、27万円弱の次年度使用額が生じたと考えています。 この27万円弱の次年度使用分については、これまでに得られた成果を論文とするための英文校閲や投稿料、別刷りの作成費用として使用する予定です。
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