ハムスターを用いた検討において、5-HT2A受容体と5-HT4受容体が超活性化運動の増加・促進に関与していることをアゴニストとアンタゴニストを用いた検討で明らかにしてきた。そこで、受容体の検出を試みたところ、ハムスター精子から5-HT2A受容体と5-HT4受容体をウエスタンブロッティング法で検出した。また、5-HT2A受容体と5-HT4受容体の下流のシグナルはどうなっているか検討した。神経細胞での報告から、5-HT2A受容体の下流ではホスホリパーゼCとIP3受容体の関与が、5-HT4受容体の下流では膜貫通型アデニル酸シクラーゼとプロテインキナーゼAの関与が想定される。ハムスター精子においても同様のシグナルが関与していた。さらに5-HT4受容体の下流ではCatSperカルシウムチャネルも関与していることも分かった。IP3受容体もCatSperカルシウムチャネルも細胞内カルシウム濃度を上げる刺激に関与し、その結果として可溶性アデニル酸シクラーゼの活性化が起こることが分かった。可溶性アデニル酸シクラーゼは基盤的な超活性化運動の調節に関与することが分かっており、可溶性アデニル酸シクラーゼを活性化させることでセロトニンによるシグナルは基盤的な超活性化運動の調節経路とシグナルの交差が起こると考えられた。 マウスを用いた検討において、5-HT2受容体の3種類のサブファミリーのうちどのタイプが超活性化運動の増加・促進に関与するか検討したところ、5-HT2Aと5-HT2B受容体が関与していることが分かった。また、5-HT2Aと5-HT2B受容体のアゴニストにより体外受精での受精率が上昇した。 ラットを用いた検討において、超活性化運動の増加・促進に関与する5-HT4受容体の下流で、膜貫通型アデニル酸シクラーゼとプロテインキナーゼAが関与することが分かった。
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