研究課題/領域番号 |
18K09205
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研究機関 | 埼玉医科大学 |
研究代表者 |
西本 紘嗣郎 埼玉医科大学, 医学部, 准教授 (00365363)
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研究分担者 |
荒木 隆一郎 埼玉医科大学, 医学部, 講師 (00168006)
杉浦 悠毅 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 講師 (30590202)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 原発性アルドステロン症 / 副腎静脈サンプリング / アルドステロン / アルドステロン合成酵素 / 免疫組織化学 / 免疫染色 / 特許 / CT |
研究実績の概要 |
PAはaldo産生腺腫(APA、通常片側性)あるいは特発性アルドステロン症(IHA、両側性)に大別され、それぞれ副腎摘除術およびミネラロコルチコイド受容体阻害薬治療が行われる。CTはAPAを検出するがaldoを産生しない腫瘍(偶発腫)をAPAと誤診する。したがって副腎摘除術の候補症例には全例に副腎静脈サンプリング(AVS)が必要である。近年我々は、aldo合成酵素の免疫染色に成功し、偶発腫とAPAの病理学的鑑別は可能となった(J Clin Endocrinol Metab 2010;95,2296-305)。 本研究では「ステロイド産生能に着目した原発性アルドステロン(aldo)症の新規治療戦略」を研究課題として、原発性aldo症(PA)診療の質向上に関わる検討を行っている。平成30年度は、219例の片側性PAの診断で副腎摘除術を施行した症例の臨床情報と副腎組織を用いた後ろ向き解析を行った。各症例における最大のPA病変が小さいほど、多発性であったことから、最大PA病変が小さいほど両側性である可能性が高かった。実際に、統計学的に最大PA病変が5mm未満の患者(small PA-lesion: S-PAL)は、それら以外の患者(large-PAL: L-PAL)と比較して、有意に術後の予後が不良であった。ロジスティック回帰分析によりS-PAL症例を予測する計算式を作製した。多くの偶発腫症例では、その非腫瘍副腎に小PA病変が多発したことから、S-PALである確率とCTの腫瘍径とを組み合わせた分類を行うことにより、CT上の腫瘍がAPAであること(あるいは偶発腫ではないこと)を推定できるモデルが創出された。本モデルにより片側性PA患者の半数以上にAVSを省略できるようになることから、このモデルは実臨床に有用であると考え、特許を出願した(特願2019-89266)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本研究は、共同研究者による多大な協力を得て行うことができている。そのため、当初の計画以上に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
上述のモデルは、今後、AVSを省略しない前向き観察研究に用いられる。本研究課題は、埼玉医科大学国際医療センターの倫理委員会により承認され、現在は症例の登録中である(#18-310)。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究計画では、組織や血液からの質量分析によるステロイド測定等を計上していたが、これまでの研究ではそれらを行う解析系まで進展していない。そのため、余剰な助成金が発生した。これらの解析は、次年度に多くの試料に対して行う必要がある。
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