研究課題/領域番号 |
18K09206
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研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
松本 和将 北里大学, 医学部, 准教授 (70306603)
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研究分担者 |
岩村 正嗣 北里大学, 医学部, 教授 (20176564)
佐藤 雄一 北里大学, 医療系研究科, 研究員 (30178793) [辞退]
小寺 義男 北里大学, 理学部, 教授 (60265733)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 膀胱癌 / 蛋白解析 / 尿路上皮癌 / 腫瘍マーカー / 自己抗体 |
研究実績の概要 |
本研究における目的は、各々の同定蛋白について多数例の膀胱癌患者血清を用いて、早期血清診断、予後予見因子としての有用性を検討する。また、膀胱癌における様々な蛋白・抗体の発現、化学療法の治療効果に関与する可能性のある蛋白質の動態と臨床病理学的所見・予後を比較検討し、臨床への応用を検討する。 尿路癌のみならず他癌種でも治療の主流となっている免疫チェックポイント阻害剤のkey proteinであるprogrammed death-ligand 1 (PD-L1)発現について、膀胱全摘除術標本を用いて検討した。腫瘍内および腫瘍内リンパ球の各々にPD-L1発現を認めた。予後に関して、PD-L1高発現は腫瘍内リンパ球発現とのみ相関を示し、有意に予後良好であった。さらに、手術後のリンパ節転移陰性例で、PD-L1高発現は独立した予後予見因子であった。一方で、術後補助化学療法の効果とPD-L1発現に相関関係は見いだせなかった。 また、化学療法耐性関連蛋白質であるHeterogeneous nuclear ribonucleoproteins (HNRNP)A3について、膀胱全摘除術標本を用いて検討した。HNRNPA3高発現症例は、有意に予後不良であった。また、以前我々が検討したS100A8、S100A9、uroplakin III発現にも相関を認めた。1つのバイオマーカーの可能性を示すことができた。一方本検討では、症例数も少ないこともあり救済化学療法の効果との相関関係は認められなかったが、一定の傾向は見出されたため、化学療法施行症例でのHNRNPA3発現の意義について臨床病理学的に引き続き検討を行っている。 臨床的な因子についても検討を行なった。膀胱全摘除術後の尿路変向術、上部尿路上皮癌の救済化学療法、筋層非浸潤性膀胱癌に対するBCG膀胱内注入療法の導入維持療法の治療成績についても報告した。
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