研究実績の概要 |
研究代表者らが発見した膀胱癌患者の尿中で発現が低下しているmiR195-5pの尿中腫瘍マーカーとしての有用性の検証と機能解析を目的として以下の研究を行った。 本年度は、まず症例数を増やし正常群:54例、腫瘍群:68例について尿中miR195-5pの発現量を解析した。その結果、少数例の予備検討において腫瘍群で低下していたmiR195-5pの尿中発現量は正常群と同等であった。このうち32例の患者の術前/術後における尿中miR195-5pの発現量(平均±SD)は-3.19±1.41/-2.06±1.48であり、術後で有意(p<0.0001)に高くなることから、腫瘍の有無と尿中発現量が関連していることが証明された。本年度は尿全体を用いた検討を行ったが、次年度は尿中miR195-5pの不安定性を克服するために、尿中のエクソソーム分画に着目し同様の検討を行う予定である。 さらに本年度は、膀胱癌細胞株におけるmiR195-5pの発現を検討し、正常の尿路上皮細胞株であるSVHUCに比較し、膀胱癌細胞株(RT-4, T-24, UMUC-3, TCC-SUP, J82)5種類全てにおいて発現が13%~40%に低下していることが確認された。また、細胞株のみならず腎移植ドナーの尿管から採取した正常の尿路上皮細胞7例についても同様の発現解析を行ったところ、miR195-5pの発現量は、SVHUCとほぼ同程度であることが新たに明らかになった。
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