研究実績の概要 |
申請者らは本研究において膀胱癌患者の尿中で発現が変動しているマイクロRNAの腫瘍マーカーとしての有用性の検証と機能解析を目的として研究を行ってきた。 本年度は血中マイクロRNAにより膀胱癌を診断するリキッドバイオプシーの確立を目指して検討を行った。膀胱癌患者392例、健常者100名、膀胱癌以外の癌患者480名の血清から抽出したマイクロRNAを用いてマイクロアレイ解析を行い、その結果から膀胱癌・非膀胱癌鑑別に有用なマイクロRNAの最終候補としてmiR-6087, -6724-5p, -3960, -1343-5p, 1185-3p, 6831-5p, 4695-5pの7つが同定された。フィッシャーの判別分析を用いて膀胱癌・非膀胱癌鑑別の精度が最も高くなる計算式を以下のごとく確立した:diagnostic index = (-2.21832)*miR-6087+(2.17809)*miR-6724-5p+(-1.04605)*miR-3960+(-1.57609)*miR-1343-5p+(0202966)*miR-1185-3p+(0.23839)*miR-6831-5p+(-0.411172)*miR-4695-5p+34.7121。この算出式の感度は91%、特異度は98%、AUCは0.98と非常に高い精度で膀胱癌とそれ以外を鑑別することが可能で、膀胱癌の検出に有用なバイオマーカーとなることが明らかになった。
|