膀胱癌およびその再発を早期に診断できる非侵襲的な検査法の開発と、膀胱癌の新規治療法および再発予防法の確立を目指し、申請者らは膀胱癌において発現が特異的に変動するマイクロRNAに着目して研究を進めてきた。その中で膀胱癌患者の尿中で発現が低下しているmiR195-5pを見出し、本研究ではその腫瘍マーカーとしての有用性の検証と機能解析を目的として研究を行った。 前年度までは尿中miR195-5pの発現について、尿全体を用いた検討を行ってきたが、本年度は尿中miR195-5pの不安定性を克服するために、尿中のエクソソーム分画に着目し同様の検討を行った。正常群:78例、腫瘍群:116例について尿中エクソソームを抽出し、リアルタイムPCRにてmiR195-5pの発現量を定量した。 その結果、miR195-5pの尿中発現量(平均±SD)は正常群/腫瘍群において-9.56±1.43/-9.26±1.86と差がなかった。miR195-5p発現量の膀胱癌Grade別ではLow/Highで-8.88±1.63/-9.58±2.01であり、high gradeで有意に(p=0.0286)低かった。また、47例の患者の術前/術後における尿中miR195-5pの発現量は-9.47±1.85/-8.27±1.51であり、術後で有意に(p<0.0001)高値となった。これらの結果から、腫瘍の有無およびグレードと尿中miR195-5p発現量が関連していることが明らかになった。
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