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2020 年度 実施状況報告書

膀胱微小循環評価と非侵襲的な膀胱壁弾性の定量化

研究課題

研究課題/領域番号 18K09213
研究機関国立研究開発法人国立長寿医療研究センター

研究代表者

野宮 正範  国立研究開発法人国立長寿医療研究センター, 病院, 医長 (00398348)

研究分担者 吉田 正貴  国立研究開発法人国立長寿医療研究センター, 病院, 副院長 (20201858)
西井 久枝  国立研究開発法人国立長寿医療研究センター, 病院, 医師 (80506345)
研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2022-03-31
キーワード膀胱虚血 / 下部尿路症状 / 前立腺肥大症 / 加齢 / 生活習慣病
研究実績の概要

【緒言】慢性的な膀胱虚血は、高齢者下部尿路症状の発症や増悪に関与すると考えられているが、一般臨床で膀胱虚血を反映する簡便で再現性のあるバイオマーカーや検査法は存在しない。【目的】膀胱粘膜血流(BBF)と下部尿路症状スコアとの関連性を検討した。【対象と方法】尿路上皮癌術後の定期フォローのため、外来で膀胱鏡検査を施行された患者18例(男性16例、女性2例)を対象とした。BBFは、軟性膀胱鏡で膀胱内観察後、内視鏡操作チャンネルからレーザードプラ血流計を挿入し、膀胱右壁、後三角部、膀胱左壁の粘膜血流を測定し平均化した。IPSS合計点≧8を有意な下部尿路症状あり、IPSS排尿症状サブスコア合計点≧5を有意な排尿症状、OABSSの尿意切迫感≧2かつ合計点3以上をOABありと診断した。BBFと各症状スコア、年齢、生活習慣病(高血圧、糖尿病、脂質異常、肥満)因子数、男性では前立腺の推定重量および膀胱内突出の有無との関連性を検討した。統計学的解析は、Spearman順位相関およびMann-Whitney U検定を用いた。【結果】患者背景は、平均年齢73.1歳(50~86歳)、生活習慣病因子数≧3が6例、平均前立腺体積は33.3±11.0ml、前立腺の膀胱内突出所見を8例に認めた。IPSS合計点と平均BBFとの間に有意な負の相関関係を認め、IPSS合計点<8、≧8で2群に分けたとき、各々の平均BBF(ml/sec/100g)は17.7±6.2、11.6±3.3 で、IPSS合計点≧8群で有意に低値であった。IPSS排尿症状サブスコア合計点≧5の群、生活習慣病因子数≧3の群、前立腺の膀胱内突出あり群は、平均BBFが低い傾向を示した。【考察】高齢者において簡便に再現性よくBBF検査が可能であった。BBF減少は、IPSSの重症度、生活習慣病因子数、前立腺の膀胱内突出の有無との関連性が示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

高齢者下部尿路症状と膀胱血流障害(膀胱虚血)との関連性が注目されているが、膀胱虚血を反映する簡便で再現性のあるバイオマーカーや検査法は存在しない。我々は、膀胱の構造的変化(粘膜微小血管変化と肉柱形成)、膀胱粘膜血流測定、膀胱壁組織弾性の定量化を行い、高齢者下部尿路機能障害の病態解明と診断や治療効果判定に有用な評価法を探索している。現在、膀胱粘膜血流を測定し、下部尿路症状との関連性を調査している。対象者数は、2021年3月末日までに60症例を予定した。しかしながら、コロナ感染拡大に伴う受診控えと検査対象者数の減少により、集積できた症例数は18例に留まっている。膀胱壁組織弾性定量化は、超音波エラストグラフィを用いているが、膀胱の蓄尿量や腹壁の脂肪量など個々の条件によって影響を受けるため、再現性を高める工夫が必要と思われる。

今後の研究の推進方策

令和2年2月以降の新型コロナウイルス感染拡大の影響により、本研究の対象者となり得る患者数の減少および生体検査数抑制のため当該年度に予定した症例集積数に達していない。このため、科学研究費助成事業期間の延長を申請した。目標とする症例数に到達できるよう努力する。また、膀胱壁組織弾性定量化に関して、再現性を高めるため、超音波装置技術者と相談し、測定法の改良を行っている。

次年度使用額が生じた理由

令和2年2月以降の新型コロナウイルス感染拡大の影響により、本研究の対象者となり得る患者数の減少および生体検査数抑制のため当該年度に予定した症例集積数に達していない。このため、科学研究費助成事業期間の延長を申請し、症例数の追加および研究計画の遂行のために使用する。膀胱粘膜血流測定の消耗品購入に充てる。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2020

すべて 学会発表 (2件)

  • [学会発表] 慢性骨盤内虚血ラットモデルの開発2020

    • 著者名/発表者名
      野宮正範
    • 学会等名
      日本排尿機能学会
  • [学会発表] 下部尿路閉塞(BOO)に起因する 膀胱機能障害と発生機序2020

    • 著者名/発表者名
      野宮正範
    • 学会等名
      日本泌尿器科学会総会

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公開日: 2021-12-27  

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