研究課題
近年、晩婚化の社会情勢に伴い、生殖補助医療(ART)が急速に普及してきた。しかし、同時にこれまで非常に稀であったゲノムインプリンティング(GI)異常症の発症頻度が増加していることが世界中で報告され、注目されている。本研究では、先天性GI異常症患児(ART群および非ART群)の末梢血DNAを用い、ゲノムワイドなメチル化解析により、メチル化異常のパターン分類と特徴について比較し、ARTによるリスク要因を評価する。本年度は、Silver-Russell症候群(SRS)患児(ART群5検体、非ART群5検体)、Beckwith-Wiedemann症候群(BWS)患児(ART群2検体、非ART群7検体)および自然妊娠健常児10検体の末梢血DNAを用いて、DNAメチル化酵素(DNMT1、DNMT3A、DNMT3B)および関連因子(MAT2A)の4つのプロモーター領域のDNAメチル化解析およびエクソーム解析による遺伝子変異解析を行った。DNAメチル化解析の結果、4遺伝子全てにおいて全ての群で0-2%と低メチル化を示し、統計的な有意差はなかった。遺伝子変異解析の結果、DNMT1遺伝子に非同義置換SNPsが2箇所(rs75616428およびrs2228612)見つかった。rs75616428のSNPs(G358C)はSRS患児ART群の1例、rs2228612のSNPs(I327V)はSRS患児ART群の2例およびBWS患児ART群の1例が明らかになった。DNAメチル化維持酵素DNMT1は受精以降に機能することが知られているため、DNMT1の変異さらに培養操作によってART群ではDNAメチル化変動領域が増加した可能性が示唆された。
すべて 2020
すべて 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 オープンアクセス 1件)
Cell Reports
巻: 33(12) ページ: 108517
10.1016/j.celrep.2020.108517