研究課題/領域番号 |
18K09218
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
佐藤 豊実 筑波大学, 医学医療系, 教授 (80344886)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 婦人科悪性腫瘍 / 静脈血栓塞栓症(VTE) / 深部静脈血栓症(DVT) / 肺塞栓症(PE) / 予防 |
研究実績の概要 |
周術期の深部静脈血栓症に引き続き発症する肺塞栓症(PE)は時に致命的であり、その予防は患者の周術期死亡の減少に寄与する。術後の静脈血栓塞栓症(VTE)発生のリスクが高い婦人科がん患者を対象に、スクリーニングと発見されたVTEへの対策、術後に選択的長期間低分子ヘパリン投与を行うことによるVTE発症予防を組み合わせた総合的な周術期致命的PE発症予防法を保険診療内で継続した。 2004年から2018年までに行ったスクリーニングによる婦人科悪性腫瘍患者の治療開始前VTEの頻度を卵巣がん(卵管がん・腹膜がんを含む)、子宮体がん、子宮頸がんに分けて算出した。また、それぞれのがん種ごとにリスク因子を検出した。これらを元に英文論文の著作を開始し英文誌に掲載された(Tasaka N, Satoh T, et al. J Obstet Gynaecol Res 2020;46:765-773.)。 この他、予定通り①リンパ節郭清を伴う手術を受けた患者、②BMIが28以上の患者、③VTEの既往がある患者、④血栓性素因がある患者、⑤治療開始前にVTEが発見された患者を対象とし、術後症候性PE発症予防法(①②は術後24時間経過後から低分子ヘパリン投与、③④は術後8~12時間から未分画ヘパリン、24時間経過後からの低分子ヘパリン投与、⑤はVTE発見時から未分画ヘパリン and/or Xa阻害剤による治療開始前の対応および術後8~12時間から未分画ヘパリン、24時間経過後からの低分子ヘパリン投与)の有効性の検討を継続し、2020年度まで症例を積み重ね解析を進めた。2021年度は論文化し投稿まで行う予定である。 組織因子(TF)とVTE発症の検討は体がんで開始し、TFの発現とVTE発生の関係解明のための免疫組織染色を行った。2021年度も継続予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
臨床的研究部分の頻度とリスク因子に関する論文作成は計画以上に進展し終了した。周術期の致命的PE発症予防に関する論文は2021年度に論文化し投稿まで行う準備が整っている。臨床的研究部分については計画以上に進展している。一方、基礎的研究部分は免疫染色を行う時間の確保が困難な現状で遅れていると言わざるを得ない。以上を総合的に勘案し「おおむね順調に進展している」を選択した。
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今後の研究の推進方策 |
臨床研究部分の頻度とリスク因子に関する論文は2020年度中に掲載された。周術期の致命的PE発症予防に関する論文は2020年度中に解析し、2021年度中の投稿を目指す。基礎的研究部分は研究に従事する研究者の増員が必要かも知れない。2021年度に入学予定の大学院生の研究参加を検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
購入を予定していた実験用消耗品が、コロナの影響により入荷せず、急遽キャンセルとなった。2021年度は入荷を確認し、その購入にあてる予定である。
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