研究課題
従来根治療法のなかった疾患に対し、間葉系幹細胞移植治療の有効性が示されるようになってきた。しかし、幹細胞移植療法の最大の問題点は、移植細胞あるいはその細胞が産生する新生蛋白に対する免疫反応により、免疫学的拒絶反応が起こり、治療効果が時間経過とともに消失することである。本研究の目的は、出生後の細胞・臓器移植治療を効果的に行うため、免疫システム確立前の胎児に、母親の間葉系幹細胞を暴露させることで、それらに対する免疫寛容を効率的に誘導する方法を開発することである。本研究の第2年度は、初年度の結果を受けて、「妊娠中間葉系幹細胞動員因子HMGB1投与により、母体の非遺伝母由来抗原NIMAに対する免疫寛容の誘導効率が上がるかどうかを調べる。」ことを最終年度と合わせて行う計画としていた。そのために、今年度は、①NIMAモデルを作成し、②生理的な条件下で、胎児にどのぐらいの割合で母体由来NIMAに対する免疫寛容が誘導されているのかを調べ、③それが妊娠中間葉系幹細胞動員因子HMGB1投与により免疫寛容誘導効率を増加させることができるかどうか、について検討を行い、結果を得た。
2: おおむね順調に進展している
①NIMAモデルを作成することができた。②NIMAモデルにおいて、生理的な条件下では、NIMAに対する免疫寛容の誘導率は、5.9%であることが分かった。③妊娠マウスに間葉系幹細胞動員因子HMGB1を連続静脈内投与することにより、免疫寛容誘導率は26%まで増加することができた。④しかしながら、その上昇率は約4倍であり、すべてのマウスに母体由来NIMAに対する免疫寛容を誘導するには至らなかった。今後、免疫寛容誘導率を上昇させるための工夫が必要であると考えた。
令和元年度の研究進捗状況を踏まえ、②「妊娠中間葉系幹細胞動員因子HMGB1投与による、母体の非遺伝母由来抗原NIMAに対する免疫寛容の誘導効率の増加させる方法の開発」および「本方法のモデルマウスへの応用」を進めていく。*新型コロナウイルス感染の影響を受けて、現在大学内での動物実験を休止せざるを得ない状況が続いており、それによる実験計画の遅延が懸念される。
すべて 2020 2019
すべて 雑誌論文 (11件) (うち査読あり 11件、 オープンアクセス 5件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 4件、 招待講演 2件)
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