研究課題
子宮内膜間質細胞の脱落膜化では、ゲノムワイドな遺伝子発現変化とエピジェネティックな変化が起こる。我々はこれまでに、転写因子C/EBPβがこれらの変化を制御していることを見出してきた。Peroxisome proliferator-activated receptor gamma coactivator 1 alpha (PGC-1α) は、promoter や enhancer に結合することで H3K27ac 修飾を誘導する epigenetic factor であり、脱落膜化においてはその発現が C/EBPβによって制御される。よって、C/EBPβは 、PGC-1αの発現を制御することでゲノムワイドな H3K27ac を調節していると考え検討をおこなってきた。令和元年度までに、PGC-1α遺伝子には、第 2 イントロンに存在する enhancer 領域に C/EBPβ 結合領域が存在すること、まだ脱落膜化刺激により同領域にC/EBPβが結合することを証明した。また、同部位がenhancer活性を持つことをLuciferase assay やゲノム編集法を用いて証明した。令和2年度は脱落膜化マーカーであるIGFBP-1遺伝子とPRL遺伝子発現へのPGC1aの関与を検討した。PGC1αはC/EBPβとともにこれらの遺伝子のpromoterに結合し、H3K27acレベルを調節することで発現に貢献していることがわかった。さらに、脱落膜化においてPGC-1αにより発現が制御される遺伝子をRNAシークエンスを用いてゲノムワイドに同定した。多くの遺伝子が同定され、これらの遺伝子の機能をGene ontology解析で検討したところ、免疫に関連する遺伝子が多く含まれていることがわかった。よって、脱落膜化における免疫機能調節にPGC1αが関与している可能性が示唆された。
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Molecular and Cellular Endocrinology
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