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2019 年度 実施状況報告書

子宮体癌細胞の増殖、進展における脂肪細胞の役割とその制御の解明

研究課題

研究課題/領域番号 18K09231
研究機関佐賀大学

研究代表者

横山 正俊  佐賀大学, 医学部, 教授 (40230669)

研究分担者 青木 茂久  佐賀大学, 医学部, 准教授 (10448441)
研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2021-03-31
キーワード子宮体がん / 脂肪細胞
研究実績の概要

疫学的に肥満と子宮体癌の発症には関連性が示唆されているが、脂肪組織はcancer-associated adipocyteとしても働きが注目されているが、脂肪組織が子宮体癌に及ぼす影響の詳細は未解明である。本課題では子宮体癌細胞と脂肪組織を混合培養し、それらの相互作用を分子生物学的に解析した。
子宮体癌(類内膜癌)細胞株:HEC265とWistar rat由来の脂肪組織片とをコラーゲンゲルを用いて3次元培養を行った。I型コラーゲンゲル内に脂肪組織を包埋し、表面にHEC265細胞を播種した。
類内膜癌単独培養群では癌細胞は3-4層で30μm程度の薄い層構造を示しつつ増殖していた。細胞の肥大は見られず、類内膜腺癌の間質内への浸潤は見られなかった。一方、脂肪組織との混合培養群では、単独培養群と比較して、類内膜腺癌細胞層の厚みが6-7層で70-80 μmと倍程度になり、乳頭状に増殖し、細胞質の肥大が見られた。また、層内に管腔状構造が出現し、最表層部では癌細胞表面に微絨毛構造が確認できた。また、混合培養群では類内膜腺癌の涙滴状の浸潤像が見られた。脂肪組織からゲル内に遊走した間葉系細胞は、癌細胞と接する部分で筋線維芽細胞への形質転換が認められた。
本研究により、脂肪組織は類内膜癌細胞の増殖と浸潤脳を調節する細胞因子であることが明らかとなった。また、癌細胞で脂肪組織由来の間葉系細胞が筋線維芽細胞へと形質転換していたことから、培養系においても脂肪細胞はcancer-associated adipocyteとして存在し、癌の細胞動態を調節することが明らかとなった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

脂肪組織は類内膜癌細胞の増殖と浸潤脳を調節する細胞因子であることが明らかとなった。
癌細胞で脂肪組織由来の間葉系細胞が筋線維芽細胞へと形質転換していたことから、培養系においても脂肪細胞はcancer-associated adipocyteとして存在し、癌の細胞動態を調節することが明らかとなった。前年までの研究では明らかにできなかった体癌細胞の浸潤性を明瞭に再現できた。

今後の研究の推進方策

さらに癌細胞の生存、増殖、遊走、浸潤関連の制御因子を解明する。
アディポカ イン、脂肪酸の投与実験により、脂肪組織誘導性の癌細胞の細胞動態の仲介因子を同定する。
これまでの実験から予想される癌細胞のアポトーシス、増殖、遊走や浸潤の促進因子や防御因子を癌細胞単独培養系、癌細胞 -脂肪組織混合培養系や癌細胞移植マウスに投与し、上記現象の促進及び阻害効果を比較検討し、子宮体癌の新規分子標的治療 薬としての可能性を追求する。

次年度使用額が生じた理由

研究は概ね予定通り進捗した。若干の次年度繰り上げ金が発生した。次年度は最終年度であり、無駄なく使用する予定である。

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公開日: 2021-01-27  

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