本研究では、エストロゲン関連受容体が子宮体癌の浸潤転移を制御する未知の機構を明らかし、ターゲット化合物として同定された薬剤の抗腫瘍効果について検証することを目的として以下の実験を行った。① エストロゲン関連応答配列(ERRE; 5’-AGGTCA-3’)をレポーターとしたルシフェラーゼアッセイ、ERR/ER結合アッセイ、リアルタイムPCR法を用いてERRaのリガンドとしての特性を評価した。② WST-8アッセイ、コロニー形成アッセイ法を用いて細胞増殖作用を明らかにした。③マトリゲル浸潤アッセイを用いて浸潤・遊走能を評価した。④フローサイトメトリー法を用いて細胞周期解析を行った。⑤ アポトーシス評価法(caspase3/7アッセイ、AnnexinV、TUNEL法)を用いてアポトーシス誘導作用を明らかにした。⑥ 子宮体癌細胞株 5x10^6個をヌードマウス皮下に移植し、低分子化合物をマウスに投与しその抗腫瘍効果を評価した。その結果、ターゲット化合物がERRE転写活性を抑制すること、WST-8アッセイで細胞増殖を有意に低下させ、アポトーシスを誘導することを明らかにした。コロニー形成アッセイでも同様の結果を得た。TUNEL法に用いてアポトーシス評価をしたところ添加後アポトーシス誘導作用を示した。マウスモデルを用いた系においても化合物添加群で腫瘍はサイズ、量とも縮小した。以上より、エストロゲン関連受容体の転写活性抑制化合物により子宮体癌細胞株およびマウスモデルに対する抗腫瘍効果を認めた。
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