研究課題
当院での周術期にサンプリングされた子宮内膜症症例と、子宮内膜症から発生したと考えられる明細胞癌症例の腫瘍内容液を用いて、ELISA法で酸化マーカー(8ヒドロキシデオキシグアノシン:8-OHdG)、抗酸化マーカー(HO-1)を測定したところ、8-OHdGとHO-1いずれにおいても子宮内膜症症例において優位に高かった。この結果から子宮内膜症においては酸化ストレスに晒されているとともに、抗酸化能も高い状態にあること、一方で明細胞癌においては腫瘍内の環境が変化したためか、酸化ストレス、抗酸化能ともに低い状態にあると考えられた。また、当院で摘出した子宮内膜症性嚢胞および、明細胞癌に含まれる子宮内膜症性病変部分のホルマリン固定パラフィン包埋切片を用いて、CD44v9、酸化・抗酸化マーカー(8OHdG、HO-1)の発現を免疫組織染色にて検討したところCD44v9陽性率は子宮内膜症症例において優位に高く、8-OHdG陽性率は明細胞癌合併症例において優位に高い結果が得られた。CD44v9の発現と、8-OHdGの発現において負の相関も認められており、抗酸化能の低下がDNA損傷を増幅させている可能性が示唆された。また、HO-1の発現においても子宮内膜症症例で優位に高い結果が得られた。この結果からも子宮内膜症において抗酸化能が高く、明細胞癌において抗酸化能は低下している事、そして抗酸化能が低下するとともにDNA損傷が増大すると考えられた。
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