研究実績の概要 |
C57BL/6J mice (WT)の妊娠マウス(18.5日)の皮下に、各種濃度(0.6, 6,18,240マイクログラム)のオキシトシン水溶液を浸透圧ポンプの埋め込みを行い、通常どおり経腟分娩させたのちに生存新生仔数をカウントし、生存新生仔の脳を摘出した。この脳組織を用いてどのような障害が発生しているのかを、領域別、また構成する細胞種(ニューロン・各種グリア細胞)別に免疫組織染色および定量PCRを用いて評価した。オキシトシン6マイクログラム投与マウスでは、生存新生仔数は対象と有意差がなかったが、18マイクログラム以上を投与したマウスでは、生存新生仔が減少した。定量PCRでは、生後0, 5日目に安楽死後に脳を摘出し、脳細胞の最初期遺伝子であるc-fos, c-Jun, JunBのmRNAの発現を確認したが、6マイクログラム以上の投与でその発現は有意に増加していた。マウス出生直後の前頭前野(PFC)、手綱核(Hb)、室傍核(PVN)におけるTUNEL陽性細胞数を免疫組織染色で確認したところ、やはり6マイクログラム以上でオスマウスに限って増加を認めた。しかし、他の領域では、これら遺伝子のmRNA発現量は有意差を認めなかった。母獣への6マイクログラムのオキシトシン投与は、胎仔・新生仔の死亡は増加させなかったが、脳局所におけるc-fos, c-Jun, JunBの発現、TUNEL細胞増加を示したことから、母獣オキシトシン負荷マウスは、胎仔脳障害発生モデルとなりうることが示された。
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