研究課題/領域番号 |
18K09246
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研究機関 | 帯広畜産大学 |
研究代表者 |
村西 由紀 帯広畜産大学, 畜産学部, 助教 (10554660)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | エピジェネティクス / 精巣発達 / 低栄養 / 周産期 |
研究実績の概要 |
低体重症を対象としたマウスモデルの先行研究によって、周産期(妊娠期・授乳期)に低タンパク質を与えられたマウス(Low Protein Diet: LPD)の仔は、コント ロール(Control Diet; CD)と比較して、低体重となり、離乳後に普通食を与え続けても代謝異常のため低体重の症状は回復しなかったことを見出している。本研究では、「仔の正常な発育に周産期の適切な母体栄養が欠かせない」可能性があると考え、その検証に着手した。LPD給与マウスの仔は、CD給与の仔と比較して 生殖器の発育の指標とされる肛門と生殖器の間の距離(肛門-生殖突起間距離)が異常であることを発見した。そして、LPD給与マウスの仔(オス)は、精巣重量が軽く、離乳後からCD給与に戻しても精巣が小さいまま回復しないという結果を得た。精巣の重量は、男性ホルモンであるテストステロン濃度や精子産生組織の 発達を反映するため、精巣発育の指標となっており、周産期の栄養が仔(オス)の繁殖能力に影響する可能性が示唆された。そこで、雄性ホルモンが及ぼす攻撃性について行動解析を行ったところ、CDに対しLPDマウスは明らかに攻撃性が劣っており、それに伴い性ホルモン濃度の変化もまたみられた。生後2ヶ月目の各グループのオスの仔 から精巣を採取、組織切片を作製し組織学的な評価を行ったところ、精巣内組織構造に影響は見られなかったが、網羅的な遺伝子解析では遺伝子発現の変化がみられていることを確認し、現在解析中である。また、精巣上体に溜まっている精液を回収し、精 子の運動率や奇形率を調べたところ、LPD給与マウスの仔の精子運動性および奇形率に影響が見られた。現在、マウス生殖細胞を用いたIVF実験によって、精子の受精のタイミングと胚発生率への影響について調べている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は、周産期の母体栄養状態がヒトの次世代の不妊症に関する研究をマウスモデルを用いて研究を行う予定のみであったが、申請者が所属する帯広畜産大学の研究環境で、他の家畜(ヒツジ およびブタ)の母畜の栄養状態が変化した場合の検討を行っている。また、ヒトの不妊治療病院も本研究に対し興味を持っていただき、周産期の母体栄養と胚発生および妊娠という研究テーマに波及し、共同研究にも発展している。
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今後の研究の推進方策 |
マウスモデルの実験は、共同研究者と研究のまとめおよび追加実験をしているところである。また、家畜でも実験を進めているので、データを解析し学会さらには学術雑誌にて報告を予定している。また、家畜精子の形態観察に関する研究が別テーマで進んでいるため、本研究と連携し、生殖細胞の発達と異常形態について研究を進める予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
計画的な実験により、経費を抑えることができたため次年度使用額が生じた。
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