研究課題/領域番号 |
18K09248
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
平池 修 東京大学, 医学部附属病院, 准教授 (20529060)
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研究分担者 |
植田 茉来 (平野茉来) 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (80771253)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 卵巣 / 老化 |
研究実績の概要 |
卵巣内での酸化ストレス経路に転写因子Nrf2/Keap1経路およびp53/Mdm2経路が関与することを、これまでにわれわれは卵巣顆粒膜細胞を用いた実験で同定した。本研究では、これら経路に直接的に作用する低分子化合物が、卵巣老化により生じる病理学的変化、および卵子数の減少に対しどのような影響を及ぼすかを、ヒト卵巣顆粒膜細胞の初代培養系に加えマウスを用いた実験で明らかにすることで、ヒト卵巣老化を救済するための基盤を構築することを目標としていた。 今年度において、われわれはNrf2機能を亢進させるジメチルフマル酸DMFをマウスに投与し、卵巣における病理学的変化を観察して、以下のような所見を得た。 1)DMFを投与されたマウス卵巣には原始卵胞数が増えるつまり卵胞の個数が救済される可能性が示された。2)DMF処理マウスにおいて排卵誘発をおこなうと、対照群と比較して最終的に得られる卵子数が増える3)卵巣における今後の排卵量を推定する指標である抗ミュラー管ホルモン値が対照群より増加していた4)酸化ストレスマーカーであるSOD1, カタラーゼなどの発現が対照群より増加していた。5)DNA損傷の指標になる8-OH-dG発現およびTUNEL染色が対照群より減少していた。6)テロメア長延長酵素であるTERTの発現が対照群より増加していた。 以上から、全体として、DMF投与により卵巣の老化現象が救済されるという可能性を示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
Nrf2機能を亢進させるDMF、およびp53抑制因子Mdm2の作用を抑制するNutlin-3aという二 種類の低分子化合物をマウスに投与し、卵巣における病理学的変化を観察することを目標としていたが、前者は既に達成したため。
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今後の研究の推進方策 |
卵巣におけるp53抑制因子Mdm2の作用をさらに追求することを目標としたい。そのため、Mdm2作用を抑制するNutlin-3aという低分子化合物をマウスに投与し、卵巣における病理学的変化を観察する。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究の進捗が順調なため、一部を次年度に持ち越した。
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