研究課題/領域番号 |
18K09251
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研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
米田 哲 富山大学, 附属病院, 講師 (30345590)
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研究分担者 |
齋藤 滋 富山大学, 大学院医学薬学研究部(医学), 教授 (30175351)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 切迫早産 / 無菌性子宮内炎症 / 黄体ホルモン |
研究実績の概要 |
妊娠32週未満の未破水の切迫早産患者162例のうち(2007~2017年に当院で管理)、適切な抗菌薬治療がなされていた125例を対象とした。このうち18例は、一週間以内に早産となったため研究対象から除外し(黄体ホルモン:17OHP-Cの効果が十分発揮されていない可能性を考慮)、107例が選択された。17OHP-Cの投与群は53例、非投与群は54例であったが、これら2群間における妊娠延長期間に有意な差を認めなかった。
これら107例を子宮内炎症別にさらに3群(子宮内炎症無し、軽度子宮内炎症、高度子宮内炎症)に分けて検討したところ、軽度子宮内炎症を認めた67例では、17OHP-C投与により、妊娠延長期間の有意な延長効果[76(13-126)日 vs. 50(8-104)日, p=0.012]、および、late preterm児の有意な減少[20.0% vs. 47.8%, p=0.041]を認めた。
特に、これら67例のうちさらに無菌性の子宮内炎症を有した54例において、妊娠期間の有意な延長が認められた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
子宮頚管長短縮症例に対する天然型黄体ホルモンの投与、既往自然早産歴を有する今回の妊娠に対する人工型黄体ホルモン(17OHP-C)の投与は、自然早産のリスクを減少されると報告があるが、今回はじめて、切迫早産に対する黄体ホルモンの限定的(軽度子宮内炎症を有する症例)な投与による有効性が見出された。
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今後の研究の推進方策 |
子宮内感染を有する軽度子宮内炎症に対しては、現時点で症例数が足りず検討ができていないため、今後、症例数を増やし検討する。
本邦では、諸外国と治療方針が異なり、入院管理あるいは長期の点滴治療(子宮収縮抑制剤によるtocolysis)がなされ、自然早産予防に努めているが、この17OHP-C治療は、これら入院および点滴治療を避けることが可能なケースもあることが予測され(医療費削減)、検討に加える予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
海外への積極的な学会参加、または、人件費に充てる予定である。
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