研究課題/領域番号 |
18K09255
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
内川 順子 信州大学, 医学部, 助教(特定雇用) (00722927)
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研究分担者 |
塩沢 丹里 信州大学, 学術研究院医学系, 教授 (20235493)
竹内 穂高 信州大学, 医学部附属病院, 助教(診療) (30816351)
宮本 強 信州大学, 学術研究院医学系, 准教授 (70418721)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | ARID1A / 子宮内膜癌 / 異所性子宮内膜 / 薬剤感受性 |
研究実績の概要 |
子宮内膜癌の8割を占める類内膜癌の30%以上にARID1A遺伝子変異が認められることから、ARID1Aの機能喪失が内膜の癌化や進展に重要な役割を持つと考えられ、増殖能などの悪性度増強や薬剤感受性に影響している可能性が考えられる。そこで本研究では、我々の共同研究者が樹立したdoxycycline(DOX)投与で子宮内膜特異的にArid1aノックアウト(KO)を誘導できる遺伝子改変マウスや培養細胞を用いて、ARID1A機能喪失の子宮内膜癌化・進展に及ぼす影響、薬剤感受性に及ぼす影響、それらの分子機序を検討することを目的とする。これまでマウスの子宮内膜腺上皮にArid1a-KOを単独で誘導しても特に形態的変化は認めていない。一方、Arid1aと遺伝子Aのdouble-KOでは異型度の高い癌の発生を認める。このdouble-KOの子宮内膜癌マウスモデルで薬剤感受性の検討を行っている。また我々はマウスの子宮内膜症発症モデル作成に挑み、ほぼ確実にマウス腹腔内に子宮内膜症性嚢胞を発症させるマウスモデルを確立した。さらに、その異所性子宮内膜にArid1a-KOを誘導する実験を開始した。In vitroでは、ARID1A 野生型(WT)の細胞株からcDNA作成し、ARID1A発現ベクターを作成した。これをARID1Aタンパクの欠失した細胞株に導入し、遺伝子発現や抗癌剤などの薬剤感受性変化の検討を行っている。また、上記の遺伝子改変マウスの摘出子宮より子宮内膜腺上皮細胞を分離培養し、DOX投与によりArid1a-KOを誘導し、機能変化を検討している。我々は子宮内膜のorganoid培養技術を確立した。今後、この技術を用いて、さらに機能解析を進める。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
遺伝子改変マウスの妊孕性が予想以上に不良であることから、想定以上に時間を要している。特にArid1aと遺伝子Aのdouble-KOを子宮内膜腺上皮特異的に誘導できるマウスの妊孕性が著しく悪く、繁殖が進まないことが、研究の遅れの原因となっている。一方、異所性子宮内膜のマウスモデルの確立や、オルガノイド作成技術の確立から、今後の研究遂行に大きな問題はない。
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今後の研究の推進方策 |
基本的に実験計画に沿って、研究を進めていく。遺伝子改変マウスの妊孕能の改善のために生殖補助医療技術を用いる。当施設の動物実験施設で施行可能である。また異所性子宮内膜のマウスモデルでのArid1a-KO実験をすすめる。培養細胞を用いた実験では、ARID1A-KOおよびARID1A cDNA導入細胞での機能解析を進めていく。さらに遺伝子改変マウスの子宮内膜腺上皮分離培養から2次元培養およびオルガノイド培養を行い、DOX投与による遺伝子KO導入による形態や機能の変化を検討していく。 。
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