研究課題/領域番号 |
18K09265
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
三浦 生子 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 客員研究員 (00404301)
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研究分担者 |
三浦 清徳 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 准教授 (00363490)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 産婦人科 / 胎児機能 / 羊水 / 間葉系幹細胞 / エクソソーム |
研究実績の概要 |
1)羊水由来間葉系幹細胞(MSC)におけるmicroRNAプロファイルの妊娠経過に伴う経時的変化を明らかにして、胎児成熟と関連したmicroRNA発現パターンの同定を試みた。chromosome19 microRNA cluster (C19MC)に含まれるmiR-518bの発現は、胎盤由来MSCで認められたが、羊水細胞由来MSCでは認められなかった。一方、C14MCに含まれるmiR-323-3pの発現は、胎盤由来MSCと比較して羊水細胞由来MSCにおいて有意に高値であった。 2)羊水由来MSCにおける胎児成熟と関連したmicroRNAの標的遺伝子(mRNA)の同定を試みた。妊娠中期~末期の母体末梢血、胎盤組織および羊水細胞を一組として、cDNAマイクロアレイ解析を行い母体血中における羊水細胞特異的遺伝子をスクリーニングした。その結果、約54,000個のmRNAの中から、羊水細胞特異的mRNAの候補遺伝子群として18個の遺伝子が同定された。その中には、胎児の消化管、皮膚、神経系などに由来する遺伝子(keratin gene family, EMP2およびEHFなど)が含まれていた。今後、C14MCに含まれるmicroRNAと羊水細胞特異的mRNAとの関連を解析する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
羊水由来MSCにおけるC19MC microRNAsならびにC14MC microRNAsの発現パターンを解析し、C14MC microRNAsが羊水由来MSCで有意に高く発現していることを明らかにした。そして、羊水細胞特異的mRNAを同定し、C14MC microRNAsの標的遺伝子(mRNA)の候補として解析を進める予定である。
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今後の研究の推進方策 |
1)培養条件ならび妊娠背景が羊水由来MSCにおける胎児成熟と関連したmRNA/microRNAプロファイルへ及ぼす影響を明らかにする。培養条件による影響については、胎児成熟と関連したmRNA/microRNAについて、それぞれ酸素濃度5%、21%、80%条件下に培養した羊水由来MSCにおける発現プロファイルをリアルタイムRT-PCR法で比較し、その影響を明らかにする。温度(33度、37度)、成長因子(G-CSFの有無)についても同様の検討を行い、羊水由来MSCの最適な培養条件に関する新知見を得る。妊娠背景による影響については、Preeclampsiaの臍帯由来MSCは、正常妊娠のそれと比較して神経マーカーなどの発現が上昇しており、MSCにおいて妊娠関連疾患の影響を把握することは重要である。正常妊娠、Preeclampsia、胎児発育不全(FGR)および妊娠糖尿病(GDM)各20例を対象として、それぞれの羊水由来MSCにおける胎児成熟と関連したmRNA/microRNAプロファイルをリアルタイムRT-PCR法で比較して、その影響を明らかにする。 2)羊水・母体血漿中エクソソームにおける胎児成熟と関連したmRNA/microRNAプロファイルの同定とその胎児機能評価法への有用性を評価する。
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次年度使用額が生じた理由 |
2018年度はC19MCならびにC14MC microRNAsの発現解析を行い、羊水細胞MSCに特異的な発現パターンが存在することが確認された。2019年度に網羅的解析法であるmicroRNAアレイ解析を行いより多くの羊水細胞MSCに特異的な発現パターンと胎児成熟に関する知見を得る予定なので、次年度使用額は計画通りに使用される。
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