研究課題/領域番号 |
18K09266
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
本田 律生 熊本大学, 医学部附属病院, 講師 (10301376)
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研究分担者 |
高石 清美 熊本大学, 医学部附属病院, 非常勤診療医師 (00601303) [辞退]
片渕 秀隆 熊本大学, 大学院生命科学研究部(医), 教授 (90224451)
伊藤 史子 熊本大学, 医学部附属病院, 助教 (90648271) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 子宮内膜症 / 卵巣 / マクロファージ / 卵巣自家移植 |
研究実績の概要 |
女性がん患者に対する凍結・融解卵巣組織の自家移植を腹壁皮下に行うことを想定して、組織生着性と卵巣機能開腹に関する基礎的検討を開始した。 移植された組織片の生着のためには、がん組織の転移・生着の際にみられる上皮間葉転換(EMT)機構が、生着後の血流確保には必須と考えられる。このEMTは、良性疾患である子宮内膜症においてもその組織発生や進展に深く関与していることが報告されるようになっている。 即ち、多くの女性において月経血の腹腔内への逆流が起こっており、月経時に卵巣や腹膜に多量の月経血が播種されているが、特定の女性のみに異所性の子宮内膜症病巣が形成される原因、また更にそれが月経時疼痛の原因となっている可能性については未知であり、子宮内膜症患者と健常者の子宮内膜組織内の分子動態を解析・比較し患者特異的に発現している分子を明かにする事により、異所性に組織生着が生じる機序について基礎的検討を行った。 はじめに、健常者における分子動態の解析を行う目的で子宮内膜組織 6検体(増殖期3検体 ・分泌期2検体 ・月経期1検体)に対する免疫組織化学解析を行うこととした。上皮マーカーとして E-Cadherin、間葉マーカー としてVimentin,さらに増殖マーカーとして Ki67を各々使用した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
以下のような結果が得られたことから概ね順調に進展していると判断した。 免疫組織化学的検討では、 ①健常者における増殖期子宮内膜腺上皮では、Vimentinが強陽性となるものの黄体期から月経期にかけて発現は低下あるいは消失する。 ②上皮マーカーであるE-Cadherinは、Vimentinとは異なり増殖期には弱く、黄体期から月経期にかけてその発現が増加する。 ③増殖マーカーのKi67は、増殖期において発現が強く黄体期から月経期にかけて発現は低下あるいは消失する。
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今後の研究の推進方策 |
上述した子宮内膜によるEMTに関する基礎的検討を、子宮内膜症患者検体で検討する。また、子宮内膜症における病巣の進展に関与するマクロファージについてもEMTとの関連を中心に検討する。 この結果をもとに実験動物による検討を行う。 野生型マウスの卵巣を摘出後、細切の上皮下組織へ自家移植する卵巣自家移植系マウスを作製し、薬物を用いた評価を行なう。この卵巣自家移植モデルマウスを用いて、移植卵巣の評価(重量、EMTの関与、増殖能や血管新生マーカーの発現など) や過排卵刺激による排卵誘発をおこない、摘出後に卵胞形成の有無や黄体形成などを組織学的に 評価することにより卵巣機能の評価を行う。また、移植卵巣とともに M2 マクロファージや ESC を 混入する手法での自家移植についても同様の評価を行う。
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