研究実績の概要 |
不育症の原因は抗リン脂質抗体、染色体均衡型転座、子宮奇形、胎児染色体異数性であり、約25%が胎児染色体正常の真の原因不明である。10回以上繰り返す難治性習慣流産Super流産患者とその両親の全ゲノムトリオ解析とマウスゲノム編集により原因遺伝子を同定する。候補遺伝子KOマウスを作成し妊孕性を確認する。野生型マウスから得られた受精卵を、遺伝子欠損マウスに移植すると不妊であり、逆の移植実験(遺伝子欠損⇒野生型)では出産可能であることを示すことによって、着床に必須の遺伝子であることを証明する。 5家系の全エクソントリオ解析を行った。非同義置換、スプライス変異、ストップゲイン、フレームシフト変異に着目し、各患者に13-27候補遺伝子を絞り込んだ。TDRD15, RUFY3(家系4)に、PIPTNM1, OR9K2(家系2)にサンガー法により新規変異を確認した。RUFY3は、新潟大学五十嵐道弘教授らがRufy3欠損マウス作成を報告したため、共同研究として受精卵の提供を受けた。全身性のRufy3遺伝子欠損マウスは生直後に死亡し、ヘテロメスマウスにおいても、野生型と比較して、妊娠、出産に明らかな差がなかった。 3家系と新規1家系の全ゲノムトリオ解析を行い、現在解析を行っている。症例を追加して研究を継続している。各家系に共通する必要はなく、Super流産の原因遺伝子を見つけることで不育症の個別化治療を模索する。これらの遺伝子は着床に必須の遺伝子でもあり、ヒト妊娠メカニズムの解明にもつながる。
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