研究課題
東北医科薬科大学医学部の教育研究棟は2018年4月から使用可能となり、7階の共通実験室のスペースが分配された。本研究計画を含む「分子標的薬のバイオマーカー遺伝子におけるバリアントの機能解析」という実験名で、遺伝子組換え生物等の使用実験の申請を行い、2018年10月16日に承認を得た(承認番号2018-30)。その間にビーカーやメスシリンダから始まる基本的な実験器具やバッファーや制限酵素を含む基本的な試薬を購入した。また、東北大学加齢医学研究所の千葉奈津子先生からBRCA1遺伝子の発現プラスミドを供与して頂いた。サンプルの保存スペースも確保できたため、東北大学加齢医学研究所に保存してあったプラスミド、大腸菌、酵母、細胞株などを凍結のまま運搬した。現在、BRCA1のcDNAをエピソーマルベクターにサブクローニングし、目的に応じた発現系に改編している。また、BRCA1遺伝子のPCR増幅の条件を調整中であり、効率のよい部位特異的変異導入の方法を検討している。また、酵母内の組み換えにより変異導入フラグメントをサブクローニングするため、BRCA1 cDNAを6フラグメントに分割し、それぞれに対応するギャップベクターを作成中であるが、6種類中3種類しか完成していない。まだ、細胞培養を開始していないが、乳癌細胞株、卵巣癌細胞株を購入して培養を開始すべく、培地、試薬を準備中である。酵母の培養もまだ準備中であり、試薬や酵母からプラスミドを抽出する材料を準備する必要がある
4: 遅れている
研究体制を一から整える必要があり、予想以上に時間と労力が必要であった。当医学部は新設後のため、2019年度は医学部1期生の講義や実習が開始となり、研究以外でも新規に立ち上げなければいけないことが多いため、十分研究に集中できないのが実情である。ただし、いったん実験の体制が整えば、BRCA1遺伝子のバリアント作成など材料を蓄積していくステップは1回の作成で同時に大量に完成する可能性もあり、挽回は十分可能と考えている。
2019年度中に、できるだけ多くのBRCA1ミスセンス変異を作成するとともに、細胞株にBRCA1遺伝子を発現して、PARP阻害薬の薬剤感受性を評価するシステムを構築する。そのためには、条件が整ったら変異導入のプライマーを多種類作成し、1回のステップで多くの変異が作成できるように工夫する必要がある。
2018年度は東北医科薬科大学医学部教育研究棟が新規にオープンしたところであり、すべて実験室を一から整備する必要があり、長年いた実験室では簡単にできることもすべてスムーズに行かなかった。そこで、実験の体制が整い始めた2019年度に本当に必要な消耗品などを使用できるような計画に変更することとした。
すべて 2018
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (1件)
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