研究課題/領域番号 |
18K09272
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
矢野倉 恵 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 特任助教 (20433732)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 子宮体癌 / リプログラミング / 着床能 |
研究実績の概要 |
【目的】現在、子宮体癌の標準的治療は子宮および付属器切除であるが、女性の晩婚化や妊娠・出産の高齢化に伴い、子宮摘出に代わる妊孕性温存療法が強く求められるようになった。子宮体癌存在下では着床が成立しないため、患者は治療による病変消失後に排卵を誘発し早期の妊娠を目指すことになる。現在本邦では、主に黄体ホルモン療法による妊孕性温存療法が行われているが、再発率の高さなど課題も多い。そこで今回我々は、子宮体癌細胞を妊娠可能な正常子宮内膜様細胞にリプログラミングすることで着床機能が回復するか検証することとした。 【方法】昨年度、本研究により作成したRC(Reprogrammed Cancer)細胞2株(Ishikawa-RC細胞、HOOUA-RC細胞)を用いてin vitro着床実験を行った。ヒト胚に見立てたヒト絨毛癌細胞(JAR細胞)スフェロイドを、子宮内膜に見立てた子宮体癌細胞またはそのRC細胞を培養しておいたシャーレ上で一定時間振盪共培養し、両者の接着率を測定した。さらに、子宮体癌細胞とそのRC細胞を用いて着床関連遺伝子の発現変化をPCRにて解析した。 【結果】Ishikawa-RC細胞、HOOUA-RC細胞ともに、親株に比べてJAR細胞スフェロイドとの接着率が上昇した。また、RC細胞では子宮内膜着床関連遺伝子であるCOX2およびLIFの発現上昇が認められた。 【結論】RC細胞では、親株に比べ着床関連遺伝子の発現上昇による着床能亢進の可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度までの研究計画をおおむね実施できた。RC細胞の脱落膜化解析のみ終了していないので、今後実施したい。
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今後の研究の推進方策 |
作成したRC細胞と親株を用いて網羅的なDNAメチル化解析を行った。今後、そのデータ解析を通して、リプログラミングに重要な役割を担っている遺伝子や着床能および脱落膜化に寄与する遺伝子を同定したい。
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次年度使用額が生じた理由 |
年度末に、コロナウイルス感染拡大の影響で一部試薬・消耗品類の納期が遅れたため。発注は継続しているので、納品され次第使用予定である。
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