研究課題/領域番号 |
18K09273
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
黒田 恵司 順天堂大学, 医学部, 非常勤講師 (60459162)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 子宮内膜脱落膜化 / 子宮内膜間質細胞 / 慢性子宮内膜炎 / 不妊症 / 流産 / 着床 |
研究実績の概要 |
今までの子宮内膜の研究より、良好胚移植を複数回行っても着床しない難治性不妊症の着床不全(RIF)の患者に対し甲状腺、免疫機構、子宮内環境の精査・加療を、OPTIMUM (OPtimization of Thyroid function, Immunity, and Uterine Milieu) treatment strategy (以下OPTIMUM)と名付け、治療を行い論文化した。 3回以上胚移植を行ったRIFの女性に対し、以下の検査を行った:子宮鏡検査、子宮内膜組織のCD138免疫染色および子宮内細菌培養検査、血清Th1・Th2細胞値、ビタミンD値、甲状腺検査、血栓性素因検査。治療として子宮内病変に子宮鏡手術、慢性子宮内膜炎に抗菌薬治療、Th1/Th2細胞比の異常高値にビタミンD補充およびタクロリムスの投与、甲状腺機能異常に対し甲状腺専門医の精査および低下症にレボチロキシン投与、血栓性素因に対し低用量アスピリンを投与した。OPTIMUM後の妊娠成績を確認した。 RIFの女性の平均年齢は、38.3±3.8歳、既往胚移植回数は5回(3–19回)であった。また着床不全のリスク因子は子宮内環境の異常75例(64.7%)、Th1/Th2細胞比高値56例(48.3%)、ビタミンD欠乏98例(84.5%)、甲状腺機能異常33例(28.4%)、血栓性素因24例(20.7%)であった。OPTIMUM後に2例自然妊娠し、そのうち1例は流産し1例妊娠継続した。OPTIMUM群とコントロール群のそれぞれの初回胚移植の妊娠継続率(流産を除く)は、40歳未満で31例(57.4%)、6例(21.4%) (p<0.01)、40歳以上で10例(30.3%)、0例(p<0.01)でOPTIMUM群で有意に妊娠継続率が高かった。 OPTIMUMは明らかにRIF既往の女性の妊娠率向上に寄与していた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定していた研究は順調でさらに基礎研究を活かした臨床研究に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
現在、子宮内環境の異常である慢性子宮内膜炎のリスク因子となる子宮疾患についてデータを解析し、またOPTIMUM treatment strategyについて着床不全だけでなく、流産を繰り返す不育症への効果について論文をまとめている。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度に進む研究で費用が必要なことが予想されたため。
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