研究課題/領域番号 |
18K09274
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
信田 政子 東海大学, 医学部, 講師 (10338717)
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研究分担者 |
三上 幹男 東海大学, 医学部, 教授 (30190606)
平澤 猛 東海大学, 医学部, 講師 (70307289)
今西 規 東海大学, 医学部, 教授 (80270461)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 子宮内膜症 / 卵巣癌 / 明細胞腺癌 / 腟細菌叢 / メタゲノム解析 |
研究実績の概要 |
体内細菌叢が各種疾患と関連することが明らかになり、メタゲノム解析は非常に注目されている。本邦では子宮内膜症の若年化や、子宮内膜症が前駆病変の卵巣明細胞癌の増加が報告されており、そのために若年者の卵巣癌死亡率は欧米よりも高い。子宮内膜症と月経血逆流・腹腔内免疫系と密接な関連及び、性交開始の若年化・Sex Partnerの増加という若年女性の性行動の変化という二つの観点から、申請者は子宮内膜症の若年化と腟細菌叢との関連性を想定した。 そこで本研究では、子宮内膜症、明細胞腺癌発症のリスク因子となる細菌群の特定を試みることが目的である。まず初めにヒトの腟内細菌叢と婦人科疾患との関連を検討するために準備段階として日本人と韓国人の腟内細菌叢を解析した。日本人女性計67人の腟内分泌液からDNA抽出し、次世代シークエンサーIonPGMで16S rRNA遺伝子領域をシークエンスして細菌叢データを得た。また、MiSeqによりシークエンスを行った韓国人542人のデータも使用した。これをGenomeSyncを使った独自の高解像度ゲノム解析にかけ、さらにMultiExperiment Viewer(MeV)を用いて細菌種分布のクラスタリング解析を行った。種レベルで細菌叢を比較解析した結果、日本人サンプルでは細菌種分布に基づき少なくとも6、人数が少ないものを合わせると9つのクラスターに分けられた。このうちLactobacillus属が優占するクラスターは人数が最大で、韓国人でも同様であり、Simpsonの多様度指数は他のクラスターよりも低かった。一方、Lactobacillus inersは例外的に多くのクラスターに含まれていた。疾患群ごとのクラスター組成を調べたところ、がんの病態になるとPrevotella biviaが優占するクラスターJ6の割合が増える傾向が見られた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
我々はすでに予備実験を行い、日本人と韓国人を対象に腟細菌叢の多様性解析を行い、6つのグループに症例を分類できることを第41回日本分子生物学会2018 (横浜)にて発表を行っている(演題名:次世代シークエンサーを用いたヒト腟内細菌叢の多様性解析)。
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今後の研究の推進方策 |
本研究は、共同研究者の持つ方法にて検査方法は確立していることから、子宮内膜症、明細胞腺癌患者の腟帯下をできるだけ多く採取することを試みる。
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次年度使用額が生じた理由 |
初年度は、すでに研究計画申請承認前よりも前に行っていたパイロット研究の結果の分析・検討とサンプルの収集を中心に行っていたために経費が予想よりも少なくて済んだ。次年度には採集されたサンプルを用いた分析、論文投稿費用、学会報告を行うことに繰越金を充当する予定である。
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