研究課題
本研究での研究対象症例は、最終年度にさらに追加され合計116例(内訳、健常人19例、子宮内膜症性嚢胞21例、卵巣癌46例、境界悪性卵巣腫瘍12例、良性卵巣腫瘍6例、子宮筋腫7例、その他5例)となり、各例の腟分泌物を保存してある。これらの試料よりDNA抽出後に、次世代シークエンサーIonPGMで16S rRNA遺伝子領域をシークエンスして細菌叢データを測定した。これをGenomeSyncを使った独自の高解像度ゲノム解析にかけ、さらにMultiExperiment Viewer(MeV)を用いて細菌種分布のクラスタリング解析を行った。517種類の細菌群を中心に解析したところ、PCA分析によって、健常人、卵巣癌と内膜症性嚢胞例ではその腟細菌叢の細菌群のパターンに違いがある可能性が示唆された。今後さらなる症例の集積、解析が必要である。昨今では、体外受精を受けた例の腟細菌叢を調べることにより、妊娠に至る確率を予測ができる、つまりある特定菌種の存在により体外受精による着床がうまくいかないことが高い精度で予測される、あるいは、卵巣癌と卵管組織の細菌叢の違いの検査より卵巣癌の発生・進展に特定の菌種が関与する可能性も示唆されるとの報告からも、腟細菌叢が子宮内膜を越えた腹腔内に影響を与えていることも予想され、今後も、子宮内膜症性嚢胞、卵巣明細胞癌、腟細菌叢というキーワードで本研究を継続していく予定である。
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 2件、 査読あり 4件、 オープンアクセス 4件)
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10.3390/cancers12092373
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