研究課題
基盤研究(C)
卵巣癌は婦人科悪性腫瘍の中で最も予後不良であり、その致死率は高い。本研究は卵巣癌における免疫応答を介したエリブリンの治療効果を検証するものである。エリブリンの卵巣癌における殺細胞効果を、卵巣癌細胞株を用いて増殖抑制を示すことで証明した。さらにヒト末梢血と卵巣癌細胞株を共培養し、エリブリン添加を行うと細胞増殖抑制のみならず免疫応答を誘引することが示された。現在はヌードマウスを用い生体内での殺細胞効果と腫瘍免疫応答について証明を行っている。この証明が可能であればエリブリンと免疫チェックポイント阻害薬併用による治療効果の増強が期待できる。
婦人科悪性腫瘍
卵巣癌は婦人科悪性腫瘍の中で最も予後不良であり、致死率は高い。2000年以降本領域では殺細胞効果を持つ新規薬剤の開発はなく、近年他癌腫で効果が示される免疫チェックポイント阻害薬も複数の臨床試験で効果が証明されなかった。これは卵巣癌の発癌機構から腫瘍免疫にも別の戦略が必要である事が推察される。エリブリンは卵巣癌での有用性について報告はない。本研究では卵巣癌への殺細胞効果だけでなく腫瘍免疫にも作用することが証明された。エリブリンは既に乳癌治療薬として日常診療で投与されており、安全性は証明され新規薬剤と比較して安価である。本研究は新たな治療戦略の開発のみでなく医療経済的にも優れ、意義があると考える。