研究課題/領域番号 |
18K09282
|
研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
錦見 恭子 千葉大学, 医学部附属病院, 助教 (00536302)
|
研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
キーワード | TERT promoter / RAR/RXR |
研究実績の概要 |
われわれの臨床検体を用いて卵巣明細胞腺癌TERT promoter領域の変異(-124bpから-154bp領域)が予後不良因子と推測されたので、この領域とTERT 発現との関係を卵巣明細胞腺癌細胞株TOV21細胞およびヒト胎児腎細胞株HEK293T細胞を用いて検討した。 TERTpromoter領域(-259bp)をLuciferase vectorに接続し、promoterの変異株を作成した。作成したvectorを上記細胞株に導入し、Dual luciferase assayにより野生型と変異型のpromoter活性を比較したところ、-124bp,-146bpおよび-138bp/-139bpの変異によりTERT promoter活性が上昇することがわかった。 次に、in silicoによる転写因子の結合予測解析より,この領域にRAR/RXRの結合が推定されたため、RAR またはRXRのagonistでwild promoterの活性の変化を検討したところ、HEK293T細胞ではRAR agonistで、TOV21ではRXR agonistでLuciferase活性の低下を認めた。しかし、この活性低下は標的変異の有無には影響されなかった。TOV21GではRXR agonist 濃度依存性的に細胞数の減少および細胞周期停止を誘導したため、Luciferase活性の低下はRXR agonistによる細胞増殖抑制に起因したものと推定された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
TERTpromoter領域(-259bp)をLuciferase vectorに接続し、promoterの変異株を作成するのに時間を要すると予想していたが、順調にできた。免疫沈降反応については、実験を重ねているが、反応が得られないので、抗体の選択に時間がかかる可能性が予想される。
|
今後の研究の推進方策 |
TERT promoter変異とTOV21Gの細胞増殖をより詳細に検討するため、CRISPR/cas9システムを用いたゲノム編集によりTERT promoter変異株の作成を予定している。 TERT promoter変異株を用いて、細胞増殖速度、テロメラーゼ活性、テロメア長、ビタミン A添加による細胞増殖抑制効果の検討を予定している。 また、-126bpから-154bp領域に、RAR/RXRが結合するか免疫沈降反応を検討する予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
臨床検体採取数が計画を下回ったため、物品費のうち試薬代金が予想よりも安 くなった。 次年度では今年度よりも多くの臨床検体数を扱う予定であり、次年度使用額を試 薬代金に使用する見込みである。
|