研究実績の概要 |
我々の報告したuncommon変異の中にはpromoter活性低下型(C127T, C129A, C144T, C154A, C154G, and C165T)、変化のないもの(G129T, G135A, G135T, and C154T)、活性上昇型(G141A),の3種類が存在した。今回、変異が集中していた領域はTERTのcore promoterと呼ばれ、Sp1やAp2といった基本転写因子の結合領域が複数存在しておりTERT転写に必須領域であるとされている。本年度はin silico解析を用いて、我々の見出したuncommon mutationが基本転写因子の結合に影響を与えるかどうかを検討した。in silico解析の結果、活性低下型変異は過去に報告された基本転写因子の結合不全を起こすことにより、TERT転写活性が低下することが示唆された。一方、転写活性が上昇したG141Aでは塩基置換が起こることにより、新規EST結合domain(ATCC)を獲得し、TERT転写活性が上昇すると考えられた。G141Aは過去にurinary tract cancerでも報告されていた。-146, -124を含むpromoter 活性型のTERT変異の再発率は、活性低下型症例や活性の変化のない症例より低い傾向にあった。TERT活性化型変異はそれだけで細胞を不死化させるdriver mutationだと考えられ、TERTの活性化のみで腫瘍化したCCは手術で十分切除が可能、または化学療法が奏功する可能性が高いことが示唆された。従って、TERTの活性型promoter変異はCCの予後良好マーカーになる。
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