研究課題/領域番号 |
18K09285
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
宮本 強 信州大学, 学術研究院医学系, 准教授 (70418721)
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研究分担者 |
竹内 穂高 信州大学, 医学部附属病院, 助教(診療) (30816351)
鹿島 大靖 信州大学, 学術研究院医学系(医学部附属病院), 講師 (70464089) [辞退]
山田 靖 信州大学, 学術研究院医学系(医学部附属病院), 助教 (60646652)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | Lipocalin2 / 癌幹細胞性 / CD44 / CD133 |
研究実績の概要 |
我々はこれまで、子宮内膜癌(EMC)や卵巣明細胞癌(OCCC)でLCN2発現が亢進し、これらの癌の悪性度上昇や抗癌剤耐性に関与することを報告してきた。また、LCN2発現抑制によりCD44v9やCD133といった癌幹細胞マーカー発現が低下し、亢進することも見出し、LCN2は癌幹細胞性維持に作用している可能性が考えられる。これを検証するため、本研究ではEMC細胞、OCCC細胞において、LCN2による癌幹細胞性への影響、およびその分子機構を解明することを目的とする。 複数の子宮内膜癌細胞株のflowcytometry解析において、LCN2発現変化により癌幹細胞を多く含むとされるside population細胞の割合が相関して変化する傾向が確認された。これまでcDNAやshRNAによるLCN2 mRNA発現変化による影響を見てきたが、今回、再構成型無細胞タンパク質合成キットを用いてLCN2蛋白を合成した。複数の細胞株において、合成LCN2蛋白添加により、がん幹細胞マーカーの一つであるCD44発現の増加が観察された。このCD44発現増強はシスプラチン(CDDP)添加時により顕著に認められ、既に報告済みであるLCN2による抗がん剤耐性にも関与していると考えられた。またmicroarrayによる遺伝子発現解析で検討したところ、LCN2発現増強により発現が増強する遺伝子として複数の遺伝子が見出されたが、特にMYCの発現調節を介して幹細胞性の調節に関与している因子も見出されるなど、複数の下流候補遺伝子が見出されており、今後、これらの因子の機能解析を進めていく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
CRISPR/Cas9によるKOの検討が進んでいないが、LCN2蛋白合成とそれによる検討は進んでいる。また新規下流因子の有力候補も複数見出されており、これらの検討を進めることが可能である。
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今後の研究の推進方策 |
基本的に実験計画に沿って進める。合成LCN2蛋白や機能的にLCN2作用と拮抗すると考えられるSalinomycinを用いた検討をさらに進める。またLCN2下流因子の機能解析も進めていく。次年度は研究結果をまとめるために、研究結果の発表も行っていく計画である。
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