研究課題/領域番号 |
18K09289
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
瀧内 剛 大阪大学, 医学部附属病院, 助教 (40733358)
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研究分担者 |
三宅 達也 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (00814766)
山田 憲嗣 大阪大学, 医学系研究科, 招へい教授 (70364114)
中村 仁美 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (80467571)
木村 正 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (90240845)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 近赤外光 / 光音響法 / 胎児酸血症 |
研究実績の概要 |
分娩時の胎児well-beingの評価方法として、胎児心拍数モニタリングが半世紀にわたり用いられ、胎児心拍数変化により胎児酸素化・胎児酸血症を推定している。しかし、この方法は、母の帝王切開率を増加させたが、出生児の神経学的予後は改善しなかった。これは、胎児脳の虚血を直接評価する方法が無いことが一因である。この問題は、子宮内胎児の血中酸素飽和度の測定により解決されるが、現行の方法では困難である。我々は、超音波断層法用プローブと近赤外光を発振するLEDおよび光音響法の解析部より構成される機器を開発し、非侵襲的に子宮内胎児・胎盤の酸素飽和度の測定を原理的に可能とした。本研究では、同機器の有効性と安全性を、in vitro/in vivo両方で評価した後、臨床的な有用性を探索することを目的としている。 本年度は、昨年度から実施している基礎実験の結果をもとに、本機器の近赤外光LEDから照射された光が、細胞障害を発生させないかを、様々な波長の光を用いて検討した。胎内環境を模倣するために、胎盤組織の検討のために絨毛や、胎児の皮膚・神経細胞の培養細胞(不死化細胞、初代培養細胞)に本機器の光を照射し、細胞の細胞毒性マーカーを生化学的に測定して安全性を評価した。具体的には、培養細胞では電子顕微鏡観察による形態評価や、カスパーゼやシトクロムcの検出、アネキシンV/PI染色による細胞死の評価を行っているが、明らかな障害は認められていない。また、同時により深達度の深い光を照射できるように機器も改良中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
分娩中の胎児・胎盤の酸素飽和度を正確に測定するためには、想定よりも更に深い光の深達度が必要であることが判明したため、現在、機器を改良中である。そのため、in vitro/in vivoの実験系で使用する光の条件を固定できておらず、進捗状況が遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
機器の改良を進めるとともに、本機器の近赤外光LEDから照射された光が、細胞障害 を発生させないか、培養細胞での評価を継続、また、ラットでも安全性を検討する。ラットの大血管に留置した微小酸素電極により局所の酸素濃度を測定し、同時に本機器でも同部位を測定し、比較検討する。また、新生仔低酸素虚血性脳症モデルである新生児ラットモデルを用い、脳血管や脳実質の酸素飽和度の経時的変化を、本機器で正確に計測できるか評価する。以上より、本機器の安全性・有効性を検証する。安全性を確認後、ヒトへの臨床応用として、分娩時の胎児・胎盤評価も検証する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
より深達度の深い光を照射できるように機器を改良中であり、予定していた実験が実施できていない。また、改良後の機器による研究に、研究費を温存する必要があるために、研究を制限しました。
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