研究課題
卵巣癌において、癌免疫療法の効果的な治療群を見いだすことが本研究の目的となる。これまでの報告から卵巣癌においては免疫チェックポイント阻害剤(ICI)単剤では、効果が限定的と考えられたため、後述する新マウスモデルによる複合免疫療法の検討を開始した。1)プラチナ耐性株:HRD(-)の状態であり、PARP阻害薬単剤では効果がないが、PARP阻害薬ICI併用により奏効率上昇の可能性がある。2)PARP耐性株:PARP阻害薬使用中に再燃した症例はICIが奏効する可能性がある。3)マウス卵巣癌細胞株:PARP単剤またはプラチナ単剤よりもICI併用により奏効率上昇の可能性がある。免疫系が正常なマウスB6C3F1マウスに、卵巣癌細胞株(マウス卵巣癌細胞株、プラチナ耐性株、PARP耐性株)を移植し、各種薬物療法を併用し施行した[抗がん剤(CDDP)、PARP阻害剤、抗PD-1抗体、抗PD-L1抗体]。当初の予想通り、無投薬とICI単剤の比較では、マウス生存期間に有意差を認めなかった(無投薬vs抗PD-1抗体:p=0.486)(無投薬vs抗PD-L1抗体:p=0.473)。また無投薬とCDDP単剤の比較では生存期間はCDDP単剤投与で有意に延長した(無投薬vsCDDP:p=0.004)が、無投薬とCDDP+ICI併用では生存期間に有意差を認めなかった(無投薬vsCDDP+抗PD-1抗体:p=0.183)。PARP阻害剤も投与したが、腫瘍細胞移植の影響が強いためか、薬剤投与の効果が発現する前にマウスが死亡した。以上の結果から、薬剤投与の効果はin vivoで再現性をもって証明されることが困難であると判断した。その後は、生体内の腫瘍状態を反映するとされるオルガノイドモデルを用い、同様の薬物投与実験を行う方針とした。昨年卵巣癌細胞からオルガノイドモデルを樹立し、現在薬剤投与実験の準備を進めている。
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